21年、那覇誘致を 文化イベント「東アジア文化都市」


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東アジア文化都市の那覇開催の可能性を語る(右から)添石幸伸代表、仲田美加子会長、中村透芸術監督、佐々木雅幸室長、加藤種男専務理事=2月18日、那覇市の県立博物館・美術館

 日中韓で文化芸術イベントを開催し、相互理解や国際発信力強化を図る「東アジア文化都市」を2021年に那覇市に誘致しようと「東アジア文化都市NAHA誘致期成会設立準備委員会」(添石幸伸代表)が14年度から活動している。

芸術文化の振興や文化を生かした産業発展を目指す。4月には期成会設立に向けて活動する一般社団法人クラボ沖縄を設置する予定。那覇新都心通り会を中心に活動してきたが、行政を含めた期成会を年内にも設立したい考えだ。
 東アジア文化都市は「欧州文化首都」をモデルに14年から始まった。毎年、各国で1都市を選び、1年を通して文化芸術イベントや3都市間の交流に取り組む。14年は横浜市、中国の泉州市、韓国の光州広域市で開催した。15年は新潟市、16年は奈良市、17年は京都市が開催候補地となっている。準備委員会は那覇市制100周年や世界のウチナーンチュ大会、新市民会館の完成などを考慮して、21年開催を目指す。
 文化芸術を生かしたまちづくりに取り組んでいた那覇新都心通り会は13年度から東アジア文化都市の調査研究を始めた。14年度は期成会設立準備委員会をつくり、有識者を招いた勉強会や欧州文化首都、東アジア文化都市の視察などを行ってきた。
 東アジア文化都市への応募は市区町村の行政が対象だ。準備委員会は広域開催も視野に入れる。一方、那覇市職員も勉強会に参加している。島田聡子市民文化部長は「意義はよく分かる。事業が過渡期なので、国がどれくらい財政的に支援するのかも含め、全体像が見えない。状況を見たい」と話す。
 2月18日には準備委が那覇市の県立博物館・美術館で誘致に向けたシンポジウムを開催した。
 添石代表のほか、企業メセナ協議会の加藤種男専務理事、文化庁文化芸術創造都市振興室の佐々木雅幸室長、仲田美加子那覇市文化協会会長、南城市文化センター・シュガーホールの中村透芸術監督が登壇した。
 佐々木室長は将来、東アジア文化都市がアジア全域に拡大される可能性に触れ、東南アジアに近く、交易の歴史がある沖縄の重要性を説いた。加藤専務理事は大規模な文化祭を開催している那覇市を「東アジア文化都市の萌芽がある」と語り、国際芸術祭など外から呼び込む取り組みも必要だと提言した。添石代表は課題として、企業などに文化への投資が発展につながることを理解してもらうことなどを挙げた。