名作の「喜怒哀楽」音色に ゆたしくクラシック


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「銀幕の世界へ~Classics in Cinema~」で映画音楽を演奏する(左から)岡田光樹、石川文乃、具志堅真紀、新垣伊津子=2月27日、那覇市ぶんかテンブス館テンブスホール

 「ゆたしくクラシックVol.8 銀幕の世界へ~Classics in Cinema~」(一般社団法人楽友協会おきなわ主催)が2月27日、那覇市ぶんかテンブス館テンブスホールであった。

映画音楽を弦楽四重奏で披露。来場者は1960年代~2000年代の幅広い名作のシーンをそれぞれ思い描いた。
 「気軽にクラシックに親しんでもらう」ことを目的に昨年7月から始まったコンサートの最終公演。出演は岡田光樹(バイオリン)、石川文乃(同)、新垣伊津子(ビオラ)、具志堅真紀(チェロ)。
 「アマデウス」のモーツァルト「『交響曲第25番』より第1楽章」「『レクイエム』より“ラクリモーザ”」で幕を開け、「無伴奏シャコンヌ」のバッハ「シャコンヌ」は岡田のソロから始まり、全体的に寂しげな楽曲を印象的に奏でる。
 「ゴッドファーザー」のマスカーニ「間奏曲」では悲劇を際立たせるような曲を奏でていく。ベトナム映画の悲惨さを描いた「プラトーン」のバーバー「弦楽のためのアダージョ」。すすり泣く弦楽器とバーバーが平和への願いを込めたメロディーが寂しく響いた。
 一転して「ニューシネマパラダイス」の「トトとアルフレード」では楽しげに響かせる。具志堅の低音もメリハリを利かせた。ハリーポッターの「ハリーのワンダーワールド」「ヘドウィグのテーマ」をメドレーで演奏。躍動感にあふれ、映画のシーンを思い起こさせるように幻想的なイメージを演出する。テンポの良さが印象的な「マイ・フェア・レディ」の「踊り明かそう」で締めくくった。
 演奏後には、楽友協会おきなわの渡久地圭代表理事が「未来のクラシック業界のためにとの思いで始め、今は8回走り切ったという実感でいっぱいだ。初めての人からリピーターまで来場いただき、うれしく思っている」と振り返った。
 毎月1回、全8回のコンサートに延べ1000人が訪れた。「今回でひとまず終了するが、来年度も引き続き開催していきたい」(渡久地)。クラシックファンのさらなる開拓を誓った。(大城徹郎)