県内、子牛高騰50万円台 肥育農家の経営圧迫


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子牛セリ取引実績および平均価格比較(税込)

 沖縄県内の子牛平均価格が過去最高水準の50万円台で推移し続けている。2015年1月時点の子牛価格は前年同月比約5万8千円(11・9%)増の54万4千円だった。子牛価格の高騰は、子牛を育てて出荷する繁殖農家にとって追い風だが、子牛を買って育てる肥育農家は、県内でも厳しい経営を強いられている。離農する肥育農家も出てきているという。

 JAおきなわが5日までにまとめた県内8カ所の競り市場の1月の平均子牛価格は54万4千円で、14年は50万円台前後で推移、11月には過去最高の54万6千円を記録した。
 10年に宮崎県で発生した口蹄(こうてい)疫や11年の東日本大震災で全国的に子牛の取引頭数が減少したため、県内の子牛競り市場には全国から買い手が来ている。しかし、県内の繁殖農家の高齢化や後継者不足の影響で、子牛の頭数は08年の3万7280頭をピークに減少している。このため県外からの需要に供給が追い付かず、価格高騰を招いている。
 肥育農家は、子牛を購入してから出荷するまで約2年かかる。JAおきなわの担当者は「現在、飼料価格が高騰している。今は、枝肉価格も右肩上がりで推移しているが、子牛価格が今以上に高値を付けるようであれば肥育農家の経営難はより深刻になる」と分析する。県の担当者は「子牛価格が下がる要素は今のところ見られない。高いうちに売り切って、畜産を辞める農家も出てきている」と話した。
(上江洲真梨子)