鋼板切断装置を開発 拓南製鉄+職能大学校


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拓南製鉄と共同開発した自動切断装置を操作する沖縄職業能力開発大学校の学生ら=12日、沖縄市の沖縄職業能力開発大学校

 拓南製鉄(那覇市、古波津昇社長)と沖縄職業能力開発大学校(沖縄市、仲尾善勝校長)はこのほど、鋼板加工に使用する自動切断装置を共同で開発した。拓南製鉄はこれまで、熟練工が手作業で鋼板を切断していた。

装置の導入により、複雑な形状も短時間で正確に切断ができ、生産性の向上につながる。12日、沖縄市の沖縄職業能力開発大学校で発表会が開かれた。
 拓南製鉄はこれまで、円弧など複雑な形状の鋼板切断は経験豊富な熟練工が時間をかけ成形し、請け負えない部分は外注していた。熟練工が定年退職を迎え、若手育成に時間を要する中、沖縄職業能力開発大学校に相談を持ち掛け、自前装置の共同開発に至った。
 共同開発は2012年度からスタート。13年度には試作機を作り、調査・実験を繰り返し、14年度に実機を完成させた。学生らが制御装置の設計や配線、プログラム開発などソフト面を中心に担当。ハード面は、学生が基本設計をしたものを拓南製鉄が手直しし、製作を支援した。開発された装置は、3次元動作が可能で、最大300ミリの厚さの鋼板に穴開けやガス切断、プラズマ切断ができる。生産性は熟練工8人分に匹敵するという。
 拓南製鉄の仲座清正専務は「互いの技術力を生かしてできた。世界に二つとない装置だ」と評価し、同社の知念正元工務部長は「制御ソフトをさらに進化させて、付加価値を高めていきたい」と抱負を語った。
 同大学校の仲宗根喜長教授の下、機械の設計を手掛けた生産機械システム技術科4年の與那覇朝一さん(23)は「新たな加工技術が学べ、技術力の向上につながった」と手応えを語り、制御装置を開発した同4年の松田大輝さん(22)は「仕事の改善、企業の発展につながってほしい」と、現在は詳細なマニュアル作りに取り組んでいる。