『ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密』


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奇想天外な冒険に父と息子の絆
 閉館後の夜の博物館で、展示物たちに命が宿って動きだす! そんな子供の妄想をそのまま映画にした大ヒット・ファンタジーのシリーズ第3弾だ。ロビン・ウィリアムズとミッキー・ルーニーの遺作となった。

 第1作=NYのアメリカ自然史博物館、第2作=スミソニアン博物館に続き、今回はロンドンの大英博物館がメーンの舞台だ。展示物たちに命を吹き込むエジプト王の黄金の石板が魔力を失いはじめ、その力を守るためにラリーと仲間たちが奮闘する。
 だが、このシリーズには彼らの奇想天外な冒険を楽しむだけでは終わらない重要なテーマが存在する。それは父と息子の絆。押しつけにならないように笑いに包んで描かれるのだが、完結編となる今回は特にそのテーマが前面に押し出されている。エジプト王の両親が初めて登場し、ラリーにもう一人の息子(!?)が現れ、最後には“父の子離れ”へと着地して締めるのだから。
 完結編と銘打っているのは、エジプト王の石板に秘められたシリーズ全体の謎が明かされること以上に、このテーマを描き切ったことが大きいだろう。もちろん、ロビン・ウィリアムズがもうルーズベルト大統領の蝋人形を演じられないことも一因に違いない。子供たちにとっては残念かもしれないが、美しい完結編だと思う。★★★☆☆(外山真也)

 【データ】
監督:ショーン・レヴィ
出演:ベン・スティラー、ロビン・ウィリアムズ
3月20日(金)から全国公開
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外山真也のプロフィル
 とやま・しんや 映画ライター&時々編集者。1966年愛知県出身。学生時代はヨーロッパ映画を中心に見ていたが、情報誌の仕事が長かったため、今は洋の東西を問わず、単館系からハリウッドまで幅広くが信条。主な執筆媒体:月刊TVfan、日本映画navi、ぴあ各誌。
(共同通信)

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外山真也