住民、ヤマネコ保護で夜間パトロール 西表島


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「やまねこパトロール」に出発する平井未来さん(左)と伯享さん(右)夫婦=14日、竹富町西表島

 【西表島=竹富】イリオモテヤマネコを交通事故から守れ―。竹富町西表島で5組の夫婦らが、イリオモテヤマネコの目撃情報が多い道路を夜間に車で巡回する「やまねこパトロール」に取り組んでいる。

結婚をきっかけに約3年前に帰郷し、家族でパトロールに参加するようになった平井未来さん(29)は「島外で長く暮らして初めてヤマネコが生きる島の素晴らしさを知った。島を挙げたヤマネコの保護活動につながってほしい」と運動の広がりを願った。 夜7時。「ヤマネコ」「命を守る」などのステッカーを貼った軽自動車で未来さん、伯享(のりゆき)さん(28)夫婦は子ども2人と一緒にパトロールに出発した。法定速度40キロの県道を夜、非常点滅表示灯をつけながら20~30キロの速さで3時間かけて走行し、路上や道路沿いの草むらなどに目を光らせ、事故の未然防止を図る。同時に速度超過する車への注意喚起にもつなげている。
 パトロールはヤマネコの保護活動に取り組むNPO法人「トラ・ゾウ保護基金」のプロジェクトとして4年前に始まり、平井さんら地元の人たちが中心となって活動している。当初は夏場だけだった活動も現在は通年になった。メンバーも増え多い時には週5回にわたって巡回、対向車の速度測定調査も実施するなど日々の情報を啓発活動に生かしている。
 週1回パトロールしている未来さんがヤマネコの事故が発生していることを知ったのは帰郷後のことだった。事故の多さに衝撃を受けるとともに「西表出身なのに何も知らなかった」と感じ、ヤマネコ保護へ関心を持ち始め、1年半前に活動を始めた。
 トラ・ゾウ保護基金の坂元雅行事務局長は「地元の人たちが自発的に取り組む意義は大きい。参加者も保護について意識が高くなっている。若い人たちの参加も活動の輪が広がるきっかけになる」と今後の発展を期待した。
 未来さんは「ヤマネコは島の宝。でも地元ではまだ真剣に考えられていない気がする。昔の私みたい。島を離れてみて守らないといけないものが多いことに気付かされた」と話す。「ヤマネコを守るには何が必要なのか、みんなに知ってもらうために活動を続けたい」と力を込めた。
英文へ→Iriomote residents conduct night patrols to protect wild cat