「コンビニ受診 抑制を」 北部の医療で初回シンポ


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「地域で医療を守る・医療を育てる」第1回シンポジウムで北部地域の医療の課題を語るパネリストら=7日、名護市の北部会館

 【名護】北部地域の医療機関と住民の関わり方を考えようと「地域で医療を守る・医療を育てる」第1回シンポジウムが7日、名護市の北部会館で開かれた。外来診療をしていない夜間や休日に軽症患者が救急外来を受診する「コンビニ受診」の抑制をめぐり、かかりつけ医を持つ重要性など市民の協力態勢について意見が交わされた。

 シンポジウムは北部地域の安全・安心な定住条件整備事業の一環として実施した。北部広域市町村圏事務組合が窓口となる定住条件整備推進委員会が主催した。
 討論会には名桜大の金城やす子副学長、北部地区医師会病院の笹倉渉医師、県立北部病院の上原正樹医師、名護市各種団体女性ネットワーク協議会の大城美智子事務局長、北部広域市町村圏事務組合の比嘉克雄事務局長が出席。名桜大の大城真理子准教授が進行役を務めた。
 比嘉事務局長は北部の医療現場の状況として、人口10万人に対する医師数は183・9人で、県平均235・2人、全国平均230・4人を下回っている点などを説明した。
 北部地域に勤務する医師への調査から、(1)救急対応などの勤務負荷が高い(2)専門の資格が取りにくい―などを要因に「5人に1人が家族に反対されながら働いており、4人に1人が他地域で働きたいと感じている」と北部地域での医師不足の課題点を述べた。
 他のパネリストからは、患者の適切な行動が安定した地域の医療体制づくりにつながる点が強調され、医療現場の勤務負荷を招く「コンビニ受診」の制限を促す声があった。また、勤務に負担感はあるが北部地域の医師はやりがいを持ち、業務に当たっている点などの報告もあった。
 シンポジウムに先立ち、名護市各種団体女性代表ネットワーク協議会の岸本能子会長が、静岡県の藤枝市立総合病院での視察について報告。病院や保健所、市民らの協力などでコンビニ受診の抑制に成功している事例を紹介した。