1票の格差「違憲状態」 14年衆院選、高裁那覇支部


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須田 啓之裁判長

 「1票の格差」が最大2・13倍あった昨年12月の衆議院選挙は無効だとして、県内の小選挙区4区の住民が県選挙管理委員会を相手に選挙無効を求めた訴訟の判決が26日、福岡高裁那覇支部(須田啓之裁判長)で言い渡された。

須田裁判長は選挙が「違憲状態」と判断したが、無効請求については棄却した。原告は即日上告した。
 判決では衆院選の選挙区割りについて、投票価値の格差の主な原因とされる1人別枠方式の問題が解決されていないとして「憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあった」と指摘した。一方で区割りを是正するべき合理的な期間は過ぎていないとして「憲法に違反するということはできない」と判断した。
 沖縄1区の原告の林朋寛弁護士は「違憲状態で選ばれた議員が仮に憲法改正の発議をすれば、憲法そのものの正当性が問われる。裁判所は役割を放棄している」と批判した。
 昨年12月の衆院選では議員1人当たりの有権者数が最も少ない宮城5区に比べて沖縄1区は1・13倍の格差があり、宮城5区の有権者を1票とすると0・88票の価値となる。同様に2区は0・84票、3区は0・77票、4区は0・85票となる。
 昨年の衆院選では小選挙区の定数を「0増5減」する区割り改定が実施された。東京高裁判決では、2倍を少し超える程度の格差になったことなどを理由に合憲と判断。福岡高裁判決では違憲状態が合理的な期間内に是正されていないとして「違憲」とする判決を言い渡すなど、各裁判所で判断が分かれている。これまでに全国の裁判所では合憲4件、違憲状態9件、違憲1件の判決が言い渡されている。
 2012年12月に実施された衆院選挙をめぐっては、沖縄1区について福岡高裁那覇支部が13年3月に「違憲」とし、選挙の無効請求は棄却する判決を言い渡していた。
 県選挙管理委員会は「大変厳しい判決と受け止めている。国とも協議し、今後の対応を検討したい」とした。