日舞と両立 医学部へ 宮城さん(昭薬)、安谷さん(沖尚)


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西川帆鈴さん(中央)から日舞を学びながら、医学部医学科に現役合格した安谷野花さん(左)、宮城妃奈乃さん=13日、那覇市首里鳥堀町の西川帆鈴日舞教室

 【南城】南城市佐敷新開と那覇市首里鳥堀町に日舞教室を構える宗家西川流の師範、西川帆鈴(ほすず)さん(本名・宮城孝子)(67)の下で、日舞を学ぶ2人の高校生がこのほど、大学の医学部医学科に現役合格した。

宮城妃奈乃さん(名取名・西川鈴怜(りんれい))(18)=那覇市、昭和薬科大学付属高校3年=が東京女子医科大学医学部医学科、安谷野花(ひろか)さん(西川鈴野(すずの))(18)=南城市、沖縄尚学高校3年=は北京大学医学部医学科に合格。医者になる夢を持ち、互いに刺激し合いながら日舞を学んだ2人。それぞれの地で、同じ夢に向かって勉学に励む。
 2人が日舞を始めたきっかけは、5歳のころに見た「こども舞踊大会」(琉球新報社主催)。「自分もこんなふうに踊ってみたい」と、2人の親戚でもある帆鈴さんの南城市にある教室に通い始めた。以来、数々の舞台を踏み、息の合ったペアの踊りもこなしてきた。
 病気を患ういとことの交流を通して、5歳のころから医者を夢見ていた宮城さん。医者の両親を持つ安谷さんも、小学校高学年から医者を志していた。日舞教室の先輩で、高校在学中に名取に合格しながら、琉球大医学部に現役合格した医師の粕谷百合子さん(西川鈴)(33)の存在も、2人の夢を後押しした。
 粕谷さんに憧れを抱きながら中学3年の夏、名取に合格した2人。帆鈴さんによると、県内では中学生の名取は珍しいという。
 「勉強と踊りの両立は大変だったが、踊りの稽古が気分転換になった」と振り返る宮城さん。「ネガティブになりがちな患者の生きる力を引き出せる医者になりたい。東京で学んだ技術を沖縄に持ち帰り、沖縄の人のために尽くしたい」と目を輝かせている。
 インターナショナルスクールに通い、高校在学中もフィンランドに留学するなどして海外に強い関心を持つ安谷さん。東京で1年間の語学研修を受けた後、中国で医学を学ぶ。「外国で医療にかかるのは大変なこと。観光客の多い沖縄で、中国語など相手の言語で観光客の患者と意思疎通ができる医者になりたい」と胸を膨らませた。
 帆鈴さんは「孫のような2人の成長を見て、感慨深い」と喜びもひとしお。「世のため人のため、頑張ってほしい。名取なんだから、特技の踊りもしっかり披露し続けてね」と目を細めた。