【交差点】黄河中流域の植樹活動


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 ダム建設で黄河流域の自然破壊が進んでいることをニュースで聞いていたので、植樹活動に関心を寄せていた。今回、私が参加した植樹ツアーには、さまざまな困難を乗り越えNPOのバックアップを受け活動する日中友好協会友好訪中団の17人のグループが一緒だった。メンバーの中には5回目の参加者もいる。
 5月中旬の洛陽はボタンの花の季節は過ぎていた。市内からバスで黄河中流の小浪底ダムに向けて2時間余り走った。
 地元関係者や中学生が参加する植樹祭のセレモニーは、シャクヤクの花が咲く畑に真っ赤な横断幕が張られ、農民たちが土手にしゃがんで見守っていた。
 細い山道を下りてたどり着いた畑には、栽培ポットに育苗されたクリとドングリの苗木が準備され、参加者は農民が次々に掘る穴に苗木を置いて土をかぶせるだけである。私は30本ほどを植えた。全体で500本はあっただろうか。
 1人の農民が土の音を聞き、苗木に語り掛けるようにして植え付けていた。農民の手元から目を放し、顔を上げると、段々畑の麦が黄金に色づき、見渡す限りどこまでも続いている。一本一本植え付けられた苗が今、刈り入れの時期を迎えているのであろう。
 われわれの植樹が砂防と土砂崩れを防ぐまでに成長するには、何十年もの年月が必要であろうが、まずは植え付けからである。
 自然と人との共存共栄の難しさと、そこから生まれる日中の力強い交流を目の当たりにしたツアーだった。
 (池宮城克子・雑誌編集者、中国・ウチナー民間大使)