『ギリシャに消えた嘘』 風光明媚な景色に美男美女で十分です


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 ヴィゴ様ことヴィゴ・モーテンセンと言えば、かつて東映Vアメリカ『ヤクザVSマフィア』に出演し、ラッセル・クロウともども日本が生んだスターだと勝手に思っている。そのヴィゴ様が『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズを経て、レイフ・ファインズやダニエル・クレイグが演じてもおかしくないダンディーな男の魅力がぷんぷん薫るサスペンスで主演ですわよ。って、先の2人に断られてお鉢が回ってきたのかもしれませんが(苦笑)。

 本作の原作はパトリシア・ハイスミスの『殺意の迷宮』。彼女と言えばイタリアを舞台にした『太陽がいっぱい』で知られるが、今度もバカンス先のギリシャで悲劇が起こる。
 優雅に見えた米国人紳士と美人妻カップルだったが、投資詐欺をやらかし逃避行中。被害者から依頼を受けて追ってきた探偵を過って殺害してしまう。現地で出会った観光ガイドの青年を頼りに、逃亡を図る夫妻だったがまたも悲劇が!
 そこに微妙な三角関係も絡んで、とっても大人な態度をとっていたはずの米国紳士が、妻の浮気疑惑に突如、キーッ!と尋常じゃない嫉妬の炎を燃やすあたりが、ヴィゴ様流。逆に言えば、ヴィゴ様らしい狂気が見られるのはそのあたりのみというのが、物足りなくもあるのだが。風光明媚な景色に美男美女が織りなす愛憎劇。まっ、それだけでも十分ですけど。★★★☆☆(中山治美)

 【データ】
監督:ホセイン・アミニ
原作:パトリシア・ハイスミス
出演:ヴィゴ・モーテンセン、キルスティン・ダンスト、オスカー・アイザック
4月11日(土)から全国順次公開
(共同通信)
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中山治美のプロフィル
 なかやま・はるみ 映画ジャーナリスト。1969年水戸出身。スポーツ紙出身の血が騒ぎ、撮影現場やカンヌ、ベネチアなど映画祭取材に燃える。三池崇史、深作欣二、キム・キドク、アキ・カウリスマキなどひとクセのあるオヤジたちが大好き。

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中山 治美