県産黒糖高騰キロ364円 干ばつ、台風で供給不足


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沖縄県産黒糖の東京、大阪平均価格

 沖縄県産黒糖の競争入札価格が高騰している。13日現在の東京と大阪の平均市場価格は、1キロ当たり約364円と過去最高水準で推移している。サトウキビ主要生産地の波照間島や与那国島が干ばつの影響で減産したことに加え、昨年10月の台風の影響で糖度不足が相次ぎ、黒糖精製に必要な量の原料を確保できない状態に陥っている。

このため黒糖の価格が高騰し、県内外の菓子製造業者が影響を受けている。
 2015年産黒糖生産量は7067トン(3月末時点)で黒糖市場の適正供給ラインとされる8千トンを4年連続で割り込む見込みだ。
 黒糖用に振り分けられるキビ生産量(県黒砂糖工業会調べ)は、対前年比約1・8%増の5万2657トン(3月末時点)を見込む。しかし、干ばつや台風などの影響で黒糖精製に必要な糖度が足りず一部が精製に回らない可能性がある。
 波照間島のキビ生産量は対前年比約30%減の7311トンだった。そのうち、黒糖用に振り分けられる生産量は1・7ポイント減の13・43%だった。
 原料の減少に伴い、市場の黒糖が品薄になり価格が高騰している。県産黒糖を使った商品の製造、販売を手掛ける県外菓子メーカーは「(問屋と製糖業社が直接価格を決定する)直接取引価格も昨年から約20円値上がりした」と漏らす。原料確保のために、複数の問屋と契約しているという。
 ある県内菓子メーカーは黒糖価格高騰を受け、外部発注する黒糖商品の販売価格を約3割値上げした。自社で製造する黒糖菓子についても「今のところ値上げは考えていないが、今後高騰が続くようであれば販売価格の値上げもやむを得ない」と話した。
(上江洲真梨子)