先人の暮らし、今の海、未来へ 幻の“中ノ瀬”で磯遊び


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伊江島と水納島の間にあるサンゴ礁「幻の島ナカンシ」を散策するツアー参加者=18日、中ノ瀬

 【本部】本部町立博物館・図書館(島袋貞三館長)は18日、合同企画として「幻のナカンシ磯遊び展(サンゴ礁と共に生きる本部人(むとぅぶんちゅ))」と「海にまつわるおはなし会」を開催した。

 ナカンシ(中ノ瀬)は、伊江島と水納島の間にあるサンゴ礁。普段は海中に隠れているが、大潮の干潮時に姿を現す。当日は、午前11時から午後4時までナカンシ体験ツアーを行った。
 体験ツアーの参加者は事前学習として(1)琉球列島の成り立ち(2)本部半島周辺サンゴ礁・幻の島ナカンシ(3)サンゴ礁と共に生きる本部人(むとぅぶんちゅ)の暮らし(4)これからの本部の海―について、仲村茂夫氏(博物館協議会委員)や比嘉敬一郎氏(地質学研究者)の講義を受けた。その後、船2隻をチャーターし、年に数回しか現れることがないという幻のナカンシへ渡った。
 参加した崎濱結さん(崎本部小5年)は「褐虫藻を見ることができた。色の付いたサンゴやシャコガイもあり楽しかった」と笑顔で話した。
 博物館内では企画展示のほか、おはなし会で紙芝居や読み聞かせがあった。図書館司書の仲本章子さんが手作りのお菓子「三月菓子(さんぐゎちぐゎーしぃ)」を用意し、沖縄の民話「浜下(はまう)りのはじまり」の読み聞かせをした。「昔は、浜下(はまう)りの時、重箱にそのお菓子を詰めて浜で食べたものだよ」と話を添えた。
 企画展示をした主任学芸員の江口博子さんは「普段見ることができない本部半島周辺海域の姿を知り、体験することで、未来により良い形で自然を残すには何をすべきか、感じ取ってもらえたら」と話した。
(金城美佐子通信員)