比企業、那覇港を撤退 取扱量不振 国際貨物戦略が頓挫


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 那覇港国際コンテナターミナルの運営事業に参画していたフィリピンに拠点を置く港湾施設運営大手「インターナショナル・コンテナ・ターミナル・サービシズ(ICTSI)」が、那覇港のターミナル事業から完全撤退したことが1日までに分かった。那覇港の国際貨物の取扱量が目標を大きく下回り、今後の契約更新について「ノー・インタレスト(興味なし)」と関係者に伝えていた。国際コンテナ貨物の中継拠点を目指した那覇港管理組合の戦略は頓挫が浮き彫りとなり、計画の抜本的な見直しを迫られそうだ。

 ICTSIと県内の主要港運業者で設立した「那覇港国際ターミナル社」は、2005年から10年間の契約でターミナルを管理運営。ICTSIはターミナル社の発行済み株式の60%の9万株を有する筆頭株主だったが、ターミナル社が1億530万円で全株購入することで合意。3月27日の株主総会でエドガルドキュ・アベサミス社長の退任と、島袋修氏(第一港運社長)の新社長就任を決めた。
 ターミナル社の山内直樹ゼネラルマネジャーは「運営管理はこれまで通りで支障は生じない。引き続き維持管理に万全を期しながら、荷物を増やす努力を続けていく」と述べた。
 管理組合は、世界各地で事業展開するICTSIをターミナル運営に誘致し、海外船社の那覇港寄港を呼び込めると期待。しかし、国際貨物の取り扱いコンテナ数は14年が8万3千個分で、目標60万個と懸け離れていた。海外の荷物を那覇港に集め、目的港別に仕分けして送り出すトランシップ貨物は、目標コンテナ40万個に対し実績ゼロとなっている。

<用語>那覇国際コンテナターミナル社
 那覇国際コンテナターミナルの管理運営、賃貸業務などを担う。本社は那覇市港町。2004年にフィリピンのインターナショナル・コンテナ・ターミナル・サービシズ(ICTSI)が60%、県内外の6社が40%出資し設立。資本金1億5千万円。国内で初めて「構造改革特別区域法」に基づく港湾施設の長期貸付制度を活用し、05年に那覇港管理組合と10年間の賃貸借契約を結んだ。那覇港における国際トランシップ(積み替え)貨物の取扱量増加に向け、世界各地で港湾運営に携わるICTSの手腕に期待がかかっていた。