「戦争は心に傷残す」 石垣の高校生2人、平和ガイドに


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羽衣学園中学校の生徒たちに八重山であった戦争マラリアについて説明する島尻優楓さん(右から3人目)と嶺井千裕さん(右)=4月21日、石垣市の県八重山平和祈念館

 【石垣】八重山の戦争の歴史を伝えるため、八重山高校2年の島尻優楓さん(16)と八重山農林高校2年の嶺井千裕さん(16)が平和ガイドの取り組みを始めた。石垣市の県八重山平和祈念館で4月21日、2人は大阪府から訪れた羽衣学園中学校の生徒たちを相手に平和ガイドを務め「今後も平和について考えていってほしい」と訴えた。

 八重山では軍命で住民がマラリアの有病地である山間部に避難を強いられ、多くの人がマラリアにかかり死亡した。同祈念館はマラリアに苦しむ女性の模型や当時の様子を写した写真などを展示している。2人はそれら展示物を指し示しながら、マラリアの症状や当時の悲惨な状況などについて説明した。
 高校生による平和ガイドは戦後70年に合わせ、同祈念館が企画した。2~3月に養成講座を開催し、2人は戦争で家族を失った体験者の話を聞いたり、八重山の戦跡を巡ったりするなど、八重山で多くの犠牲者が出た戦争マラリアや沖縄戦について学んだ。
 市教育委員会ら関係者にガイドする実習を終え、この日初めて一般来館者を案内した。島尻さんは「戦争は心に傷を残し、何年たっても(体験者や遺族の)悲しみは消えない。八重山の戦争の歴史を知ってほしくてガイドをしようと思った。皆さんもここで聞いた話を覚えていてほしい」と語り掛けた。
 ガイドを務めた嶺井さんは「うまく伝えることができたか分からないけど、同世代が真剣に話を聞いてくれてうれしかった。少しでも心に響いてくれたら」と話した。