キングス、団結で4強 POファーストラウンド


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 プロバスケットボールTKbjリーグの琉球ゴールデンキングス(レギュラーシーズン西地区2位)は3日、沖縄市体育館で大分ヒートデビルズ(同7位)とプレーオフ(PO)のファーストラウンド第2戦を行い、92―68で勝利した。対戦成績が1勝1敗になったため最終決定戦が行われ、キングスが23―18で大分を破り、地区準決勝に進んだ。

キングスは第2戦の序盤から岸本隆一や小菅直人の3点弾で先手を取った。インサイドではキブエ・トリムが奮起するなどバランスよく得点して前半を47―32で終えた。後半は激しさを増した大分の守備に苦しんだが、山内盛久が要所で得点し、津山尚大も3点弾にアシストと活躍して大分を引き離した。決定戦の前半は互いに点を取り合って12―11とキングスの1点リードで折り返した。後半に入るとファウルが増えた大分に対し、キングスはフリースローを確実に沈めて勝利を引き寄せた。キングスは9、10の両日、沖縄市体育館に浜松・東三河フェニックスを迎えて西地区準決勝を戦う。(観客3459人)

 【西カンファレンス】
▽1回戦第2戦(1勝1敗)
琉球ゴールデンキングス(リーグ2位)
 92―68(25―14,22―18,14―17,31―19)
大分ヒートデビルズ(リーグ7位)

▽準決勝進出決定戦
琉球ゴールデンキングス
 23―18(12―11,11―7)
大分ヒートデビルズ

 【評】キングスが本来の積極性を取り戻し、第2戦と最終決定戦を連取した。第2戦の前半は岸本や小菅の外角が決まりキングスのペースで試合が進んだ。後半はギアを上げた大分に対し、キングスはケントや津山の活躍で白星を手にした。決定戦の前半は金城や小菅の得点でリードしたが、大分も食らいついて接戦になった。後半はバーンズやマクヘンリーがインサイドに切れ込み、フリースローを沈めてリードを広げた。大分はキングスの攻撃に手を焼いてファウルが増えた。(平安太一)

◆前日の悔しさ力に 奮起
 コートに立つ5人も、ベンチにいる選手やスタッフも、観客席のブースターも、思いは一つだった。負けたら終わりの最終決定戦。1点を争う緊迫した展開で、全員が勝利だけを目指していた。歓声は鳴りやまず、出場メンバーは足を止めない。ベンチの選手も立ち上がり、同じ気持ちで戦う。昨季からテーマに掲げる「団結の力」が形になった瞬間だった。
 第1戦で敗れたダメージは小さくなかった。岸本隆一は「マイナスなことばっかり思い浮かんで眠れなかった」と苦々しい表情で語る。トリムも「何も食べられずに眠ることもできなかった」。POの大事な試合で勝てなかった悔しさが、それぞれの胸中にあった。
 迎えた第2戦。「初心に帰って点を取りに行こう」と決めていた岸本は、第1クオーター(Q)から積極的にシュートを放った。「勝利のために、もっとできることがあるはず」と感じていたトリムはインサイドからリングをこじ開けた。決定戦で岸本は「どんなことが起きても前を向いてチームをまとめようと思った」。司令塔としてボールを回し、仲間をもり立てた。
 「チームでバスケをやる大切さをあらためて感じた」と岸本は振り返る。個人の力に頼っていた第1戦の反省から、全員で戦うバスケを貫き通した。次戦の相手は浜松に決まり、岸本は「(ブースターも)一緒に戦っている気持ちでいてほしい」と願う。POで手にした「団結の力」で強敵に立ち向かう。(平安太一)

◆「普段通り」を徹底 主将金城、冷静判断
 1勝1敗で迎えた最終決定戦。前後半5分ずつで行われる短期戦に向けて、主将の金城茂之がチームメートに伝えたことはシンプルだった。「練習通りにプレーしよう」。短い時間では流れがどちらに傾くか分からない。一つ一つのプレーが重要になる緊迫した状況で特別なことはせず、「普段通り」を徹底した。
 試合開始直後からいい形でパスがつながり、アンソニー・マクヘンリーから金城にボールが渡る。「自分のタイミングでシュートを打つことを意識した」と冷静にリングを射抜き、先取点をもたらした。序盤は接戦になったが「いつもやっていることを当たり前にやった」と崩れることなく白星を引き寄せた。
 地区準決勝に進出し「負けから一転してチームとしていいものをつかんだ」と感じている。「自分たちのバスケを見詰め直して、やるべきことをやる」と次戦に向けて決意を新たにした。

◆チームが一つに
 伊佐勉HC(キングス)の話 勝たないと後がない状況の中で今シーズン初めてと言っていいくらいチームが一つになった。出ている選手が自分の仕事を徹底して、サードゲーム(決定戦)では主要メンバーが次につなげた。遠回りしたけど、とてもいいファーストラウンドだった。

◆胸張って帰る
 鈴木裕紀HC(大分)の話 最終戦を含めて選手たちは勝利を手に入れるためによく戦ってくれた。残念ながらファーストステージ敗退になったが、誇れるメンバーだった。チームを支えたブースター、スポンサーに感謝して、胸を張って帰りたい。

◆みんなよく頑張った
 澤岻直人(大分)の話 (けがのため2戦目から欠場し)もう少しプレーしたかったと感じている。今日の朝まで出場したいという気持ちだったが、テープを巻いても走れそうになかった。みんなはよく頑張ってくれた。(POは)楽しかった。また沖縄でパフォーマンスを見せられるように準備したい。

◆応援頼もしかった
 大城弘樹(大分)の話 昨日と今日は地元だけではなく大分からも応援に来てくれて、心強くて頼もしかった。個人の成績はあまり良くないけど、数字に出ない部分で頑張ることができた。この試合に懸ける思いも強くて、チーム全体がよくやった。

キングス―大分 第1クオーター、3点シュートを決める岸本隆一=3日、沖縄市体育館(花城太撮影)
冷静なプレーでチームを引っ張った金城茂之