『小さな世界はワンダーランド』 小動物の目線で驚きのシーン


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 最新技術と粘り強い密着撮影で自然界の驚異を描き出すことで定評のあるBBC(英国放送協会)アース。今回も魅せてくれます! メーンは北東アメリカに生息するシマリスと、米アリゾナのスコーピオンマウスという小動物。彼らの目線で森や砂漠を捉えており、どうやって撮ったんだ!?というシーンの連続。

さらに今回は、『トイ・ストーリー』などのピクサーが構成を手がけたという。家族と離れて初めて冬を一匹で越すことになった新人シマリスVS先輩シマリスの仁義なきエサの奪い合いは、もはやコメディー。人間と変わらぬ社会がシマリス界にも存在していることに苦笑いしてしまうだろう。
 でも筆者が前のめりになったのは、スコーピオンマウスの方。正式名称はバッタネズミだが、通称が意味するのはサソリとかバークスコーピオンなどの毒に対する耐性を持っていて、果敢に立ち向かうどころか、やつらをバリバリ食ってしまう。ケニアにサファリに行った時、ライオンは百獣の王だから一大勢力を築いていてもおかしくはないが、ライオンの子供を襲うブチハイエナがいるから生態系のバランスが成り立っているという話を聞いたことがある。
 この手のドキュメンタリーの場合、日本では子供向けにナレーションを入れてしまうのが気になるが、今回は低音ボイスの斎藤工なので邪魔に感じず。ただ44分は短い。もう少し見たい。★★★★☆(中山治美)

 『データ』
監督・脚本・製作:マーク・ブラウンロウ
脚本・製作:マイケル・ガントン
ナレーション:斎藤工
5月9日(土)から全国順次公開
(共同通信)
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中山治美のプロフィル
 なかやま・はるみ 映画ジャーナリスト。1969年水戸出身。スポーツ紙出身の血が騒ぎ、撮影現場やカンヌ、ベネチアなど映画祭取材に燃える。三池崇史、深作欣二、キム・キドク、アキ・カウリスマキなどひとクセのあるオヤジたちが大好き。

(C)Randall Babb/BBC2014(C)BBC 2014
中山 治美