入浜式製塩に挑戦 屋我地中、地域の伝統工法体験


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 【名護】名護市立屋我地中学校(神山英輝校長)の1、2年生24人が1日、総合的な学習を活用し、地域に伝わる伝統的製塩法「入浜式」での塩作りを終日にわたり体験した。来年4月に小中一貫教育校「屋我地ひるぎ学園」の開校を予定。教育課程の3本柱の一つとして地域の自然学習があり、それに向けたプログラム作りの一環。手作業で繰り返される重労働だったが、生徒らは貴重な体験を楽しんだ。

 同校近くには市指定文化財「我部の塩田跡」があり、その隣で塩田(上地功代表)が2007年に同製塩法を復活させ、塩作りを再開させ「屋我地マース」を製造、販売している。観光用に塩田を復元した場所は全国にも複数あるが、産業としての入浜式塩田は我部が国内唯一だという。
 潮の干満を利用して製塩する入浜式は、塩田に砂をまき塩を付着させる。天日干しした後その砂を再びドラム缶に集め、海水をかけてろ過すると塩分濃度の高いかん水ができる。それを炊くことで海水を炊くよりも効率良く塩を作ることができる。
 生徒らは、これら一連の作業を浜士の金城薫さんの指導を受けながらこなした。大城理樹君(2年)や玉城一総君(同)は「昔ながらの手作業による工法は大変だと思うが、続けていることはとても大事なことだ」と感心した様子。長田飛龍君(同)も「体力的にも技術的にも大変な作業だからこそ、塩のありがたさが理解できた」と話した。
 神山校長は「小中一貫教育校では、小学校時代から積極的に地域学習を取り入れる。来年に向けたスタートになるような一日となった」と話した。
 入浜式による塩作り体験の様子を写真で紹介する。

(1)サシと呼ばれるスコップ状の道具で塩田に砂をまく生徒ら=1日、名護市我部
(2)砂に付着した塩をろ過するため、塩田にまいた砂を再び集める生徒ら
(3)塩が付着した砂をドラム缶に集め海水でろ過する作業
(4)かん水を4時間ほど炊き、出てきた塩の結晶を集める浜士の金城薫さん
(5)かん水を窯で炊き抽出された塩を取り上げる生徒