キングス自滅黒星 PO西準決勝第1戦、浜松に69―71


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 プロバスケットボールTKbjリーグの琉球ゴールデンキングス(レギュラーシーズン西地区2位)は9日、沖縄市体育館で浜松・東三河フェニックス(同3位)とプレーオフ(PO)の地区準決勝を行い、延長戦にもつれ込む接戦の末に69―71で敗れた。

第1クオーター(Q)の序盤は両チームのシュートが入らずロースコアの展開になった。キングスは途中出場の山内盛久や津山尚大の得点で勢いに乗ると、第2Qに試合の主導権を握った。しかしキングスのファウルがかさむと浜松に流れが傾き、連続3点弾を許すなど劣勢となった。それでも並里成がブザービーターとなる3点弾を決めて34―35で前半を終えた。第3Qからキングスのシュートがリングに嫌われ、浜松のペースで試合が進んだ。キングスはドゥレイロン・バーンズの得点で追い上げて延長戦に持ち込んだが、最後は浜松にブザービーターを決められて勝利を逃した。浜松との第2戦は10日に同体育館で行われ、キングスが勝利して1勝1敗になった場合は、前後半5分の最終決定戦が行われる。(観客3339人)

 【西カンファレンス】
▽準決勝第1戦(浜松・東三河1勝)
浜松・東三河フェニックス(リーグ3位)
 71―69(16―17,19―17,17―16,13―15,延長6―4)
琉球ゴールデンキングス(リーグ2位)

 【評】延長戦で勝負強さを発揮した浜松が大接戦を制した。第1Qから両チームの得点が伸びなかったが、キングスは山内や津山が得点して先にリズムをつかんだ。浜松は外国籍選手を中心に攻めて五分の展開に持ち込むと、第3Qも勢いを維持した。第4Qはキングスが追い上げ、延長戦でも着実に得点した。しかし勝負どころでフリースローやシュートを外し、ブザービーターを決めた浜松に軍配が上がった。(平安太一)

◆チーム鼓舞する奮闘 並里、次戦巻き返し誓う
 並里成がコートで暴れ回った。点が欲しい場面でシュートを沈め、リバウンドやルーズボールに飛び込んだ。「今日は絶対に勝ちたかった」。全力で戦い、11得点3アシストと奮闘した。しかし、勝利を逃して「勝てる試合を落とした」と唇をかんだ。
 第1Q残り約5分から途中出場し、相手コートに素早く攻め込んでファウルを誘った。その後も果敢にシュートを放ち、得点が伸び悩んだ序盤戦の空気を変えた。浜松の3点弾が連続で決まって引き離された第2Qには、ブザービーターとなる3ポイントを沈めて点差を詰めた。
 最後は一歩及ばず「非常に残念だった」と言う。そして「明日は1分も気を抜かない」と気持ちを切り替えた。

◆勝ちきれず残念
 伊佐勉HC(キングス)の話 どんな形でも勝たないといけない試合で勝ちきれず残念だ。前半から我慢強く戦って流れはこっちにあった。しかし簡単なミスが起きて、浜松を引き離すことができなかった。明日(10日)は二つ勝たなければいけない。先週以上の気迫で、キングスのバスケをする。

◆しっかりと挑む
 東野智弥HC(浜松)の話 今日は今日、明日は明日また戦いたい。パブリックビューイングでも見てくれた多くのブースターに感謝して、明日もぶつかる。キングスにしっかりチャレンジして明日も勝ちたい。

◆凡ミス重ね 残る悔しさ
 小さなミスが積み重なる。簡単なシュートを外し、フリースローをリングに沈められない。浜松との差はわずか2点。それも延長戦の終了と同時に失った2点だ。「自分たちに悪い部分があったのは確かだ」。ファーストラウンドと同様に第1戦を落とし、バーンズは悔しさをにじませた。
 1点を争う大激戦の中で勝つチャンスは何度もあった。第1Qの終了間際に山内盛久がアウトサイドショットでチームを勢いづけると、第2Qには津山尚大の3点弾も決まってリードを保った。インサイドの要のアンソニー・ケントやキブエ・トリムがファウルトラブルに陥っても、大宮宏正が穴を埋めた。
 しかし、浜松を突き放せない。リング下から放ったシュートを決められず、浜松に守備を崩された。伊佐勉HCは「自滅してしまった」と厳しく指摘する。延長戦は浜松の主力選手が負傷やファウルでベンチに下がり、キングスは優位にあった。多くのファンも背中を押してくれた。勝つための条件は整っていたが、白星は逃げていった。「何がチームに足りなかったのか」とバーンズは頭を抱える。
 次が今季のホーム最終戦だ。バーンズは「ハードに戦って(大分から勝利をつかんだ)先週のような結果を出す」と誓う。最終戦を勝利で締めくくるため。ホームコートをファンの笑顔で満たすため。全力で戦い、白星を二つつかむことがキングスに求められている。(平安太一)

キングス―浜松 第1クオーター、相手守備をかわしてシュートを放つ山内盛久=9日、沖縄市体育館(花城太撮影)
第4クオーター、リング下でパスを出す並里成