「保育ママ」の認可園誕生 県内2園、時間かけ成長見守る


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9カ月~2歳の園児と体操をする我謝千代園長(右端)ら=与那原町の家庭的保育園「きらら」

 4月からスタートした「こども・子育て支援新制度」で、0~2歳の乳幼児5人までを保育する「家庭的保育(保育ママ)」の認可園が県内に誕生した。

2012年から認可外として運営してきた「きらら」(与那原町、我謝千代園長)はその一つ。認可を受けたことで「運営に余裕が出たのはもちろん、園児が卒園後に連携施設の認可保育園に入れるようになった」と我謝園長は説明。「待機児童の一時的な滞在場所だという考えはなくなるだろう」と期待する。(岩崎みどり)

 家庭的保育は3歳未満の待機児童解消のための事業。県内では4月1日付で、家庭的保育2園のほかに、6~19人を保育する小規模保育園10園、従業員と地域のこどもを保育する事業所内保育園5園が認可園として登録された。
 認可に伴い求められるのが連携施設。認可保育園のほか、幼稚園、認定こども園も可能だ。連携施設は、保育の支援や代替保育、卒園後の受け皿の役割を担う。
 きららは歩いて数分の場所にある認可保育園と連携することになった。「これまで園児は認可保育園に空きが出ると退園し、新しい待機児童が入ってくるという状態だった」と我謝園長。「1年を通して保育する子がいなかったが、これからは少人数を、時間を掛けて成長を見守ることができる」と話す。
 認可化に伴い、これまで弁当持参だった昼食も提供することになった。同園は、連携施設で調理した食事を運んでくる。我謝さんは「おやつも同じ。食事を運ぶための食事担当の職員を1人増やした」と説明する。
 一方で、認可されたものの連携施設が未定の園もある。連携施設の確保には国の基準で5年間の移行準備期間があるからだ。市町村の担当者は「どこの保育園も保育士不足などで、いっぱいいっぱいの状態。自治体としては協力を依頼する立場で難しい」と説明する。
 連携施設がないと、3歳を迎えて卒園した児童が待機児童になる可能性もあり、待機児童解消をうたった同事業の本質が問われる。保育の質を充実するためにも、連携施設の確保が急務になっている。