熟練手もみで高品質紅茶 春だけ限定、販売ない年も


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真剣な表情で厳選茶葉をもみ、高品質の紅茶を作り出す比嘉竜一さん=6日、名護市伊差川の金川製茶

 【名護】名護市伊差川の金川(かにがわ)製茶で6日、お茶の手もみ作業が行われた。名護市内で生産し、人間の手で厳選して摘んだ茶葉だけを手もみし、高品質の限定紅茶にする。

60年以上の歴史で、紅茶加工などの技術を継承する3代目・比嘉猛さん(61)と4代目・比嘉竜一さん(30)が、交互に約1時間かけて茶葉の持ち味を発揮させた。
 手もみ作業は、茶葉を熟練した技術でもむことで葉の細胞を壊し、発酵を促進させるために行われる。機械ではなく手の繊細な力加減で調節することで、味や香りをより引き立てる。
 厳選した茶葉は、これから開く葉が一つ、すでに開いた葉が二つの「一芯二葉」のもので、葉の裏には細かな毛が多く生えている。名護産のお茶は、生産に最適な緯度や赤土「国頭マージ」土壌などの条件から、紅茶に適した葉ができるという。
 この日もまれた茶葉は、生葉で約600グラム。加工後の乾燥した状態になると、わずか120グラムの貴重な茶だ。限定紅茶は毎年春だけ生産され5キロもできず、販売されない年もある。この限定紅茶に魅了され、工場に直接買い求めてくる人もいるという。
 竜一さんは「紅茶の専門家からも最高評価を受けるぐらい、本場のインドやスリランカにも負けない本場の紅茶が沖縄にもある」と話し、名護の紅茶の魅力をアピールした。