【キラリ大地で】アメリカ 美加・ミンギーさん(浦添市出身)


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エクササイズのインストラクターに加えボランティアも始めている美加・ミンギーさん

健康指導で周囲に恩返し
 足腰の筋力アップの運動効果が得られるボディーステップのクラスが始まった。インストラクターは浦添市出身の美加・ミンギーさん(43)。続いてバーベルを使ってのボディーパンプ。動きが徐々に激しくなっていく。長い黒髪を束ね満面の笑顔の美加さんは「How are you all feeling?(気分はどう?)」「good?(調子いい?)」と一人一人目を合わせていく。運動強度がピークになるとスタジオは汗と熱気に包まれた。

 最後は空手などの格闘技を取り入れたボディーコンバット。美加さんの動きで変わる表情と素早い動きのかっこよさに感動しながら1時間45分のクラスを体験した。月~金曜日、二つのクラブを掛け持ちで教える美加さん。小柄な体のどこからあのようなエネルギッシュなパワーが生まれてくるのだろう。
 「肥満体形で痩せたい思いから短大の時にジャザサイズに出合い、はまったのがきっかけ」とインストラクターに目覚めた経緯を話してくれた。それまではピアノに琉舞。少し空手を学んでいたが、洋楽鑑賞が趣味だった美加さん。今ではそれらの一つ一つが仕事につながっていると感謝する。
 夫と29歳で出会い結婚し渡米。2人目の出産を終え、次女が2歳の時、レスミルズプログラムのインストラクターの資格を取った。ニュージーランドで医師や運動生理学者などの専門家らが考案したプログラムは、世界112カ国で行われているグループエクササイズだ。インストラクターになるには、レッスン風景を録画したビデオを送り審査を受け合格しなければならない。その上3カ月ごとに新しい音楽と振り付けが変わるため毎回覚えなくてはならない。美加さんは「みんなと楽しく運動できるのは幸せ」とほほ笑む。
 だがこれまで全てが順風満帆で来たわけではなかった。夫の日本への転勤でいったんはキャリアを休止。2年後に再度バージニア州に戻るも、希望の場所での仕事ができず、3年以上厳しい環境に置かれ、人間不信に落ち込む時期も。そんな時、夫や教会の仲間の励ましが救ってくれた。信頼できる友人らにも支えられ、子供たちと帰省した際に、沖縄の友人らとの再会で勇気と元気がもらえた。幸運なことに、約30年ぶりに沖縄で親交のあった牧師夫妻とも再会し、精神的に満たされた。
 美加さんは「人生の過程でこれまで体験したつらいことは無駄ではなかった。現状に感謝している。ジムでは日本人であることを武器にジャパンスピリットを随所に出している」と話す。
 翌週、美加さんの誘いで、ドラムのばちをたたきながら動くパウンドフィットネスのクラスにも参加させてもらった。研究熱心さと生徒一人一人を気遣う気持ちを感じた。
 インストラクター以外のライフワークとして、毎週教会での小学生向け日曜学校のアシスタントと、月に一度は障がい児らを預かるボランティアも行い、その子どもたちにもエクササイズを教える手伝いを始めた。
 「今後は、支えてくれた家族と友人らへの恩返しとジムに限らずいろいろな場所で心身を健康にする手伝いをしていきたい」と抱負を語った。
(鈴木多美子通信員)