振興へ「北部一つ」に 23日、伊是名で「やんばる駅伝」


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やんばる駅伝競走大会の過去の資料を見ながら、25年の歴史を語る具志堅進さん=14日、本部町渡久地の自宅

 【北部】第25回やんばる駅伝競走伊是名島大会(主催・同実行委員会、伊是名村、琉球新報社)は23日、伊是名村の臨海ふれあい公園グラウンドを発着点に島を3周する43・2キロで覇を競う。

ことしは同村出身の琉球王朝第二尚氏王統の初代国王・尚円王が生誕600年を迎えることから、「尚円王生誕600年祭」の一環と位置付けられている。尚円王が西原間切の内間領主を任されたことなどから、今回はゆかりの地西原町をオブザーバー参加とし、過去最多の17チームが出場する。25回の記念大会に尚円王生誕600年祭が加わり、レースはもちろん、地域交流や文化発展、継承に関係者は思いを強くする。
 この大会は「国頭郡えきでん競争大会」として11町村でスタートした。ことしで38回大会を終えた沖縄一周市郡対抗駅伝のチームメートとなる11町村の関係者が集い、競技力向上と離島振興を目指し「島興し」を旗印に始まった。
 第6回大会から名護市から「北、南、久志」の3支部体育協会が正式参加し名称を現在の「やんばる駅伝」に変更した。さらに第10回大会は鹿児島県与論町で開催され、それを機に与論町も正式大会地の仲間入りした。第17回大会からは沖永良部島の知名町も正式メンバーに加わるなど年を重ねるごとにスポーツ交流の輪が広がってきた。
 ことし1月の沖縄一周市郡対抗駅伝で国頭郡が3年ぶり8度目の優勝を飾るなど、もともとやんばるは陸上が盛んな地域だ。
 やんばる駅伝の第1回大会から競技役員を担い、第13回大会からは審判長を務める具志堅進さん(国頭郡体育協会陸上競技部長)は「選手強化を掲げ下準備が浅い中で始まった。ここまで続くとは想定していなかった」と苦笑いするが、「陸上界の底上げだけでなく、一度に350人以上の関係者が島を訪れる点を捉えても経済的な波及は大きい。持ち回りで離島開催を行う大会は他には類を見ない」と大会意義を強調する。
 具志堅さんは「大会を待ちわびている地元住民のほか、大会を実際に自分の目で見て陸上への憧れを抱き、県を代表する選手に成長した離島出身者は多い」とし、競技性と地域発展双方の効果を語る。
 選手や審判員、大会関係者など人材育成も兼ねた大会。ことしも白熱したレースと温かい交流が見られそうだ。