USJが海洋博管理 政府検討、支援へ 特区指定で規制緩和も


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 米映画テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」(大阪市)の沖縄進出計画をめぐり、政府が本部町の国営海洋博公園の指定管理をUSJの運営会社に担わせることを検討していることが22日、複数の関係者の話で分かった。

海洋博公園の国有地や施設を活用したUSJのテーマパーク建設・運営を政府が全面支援する。国営公園の建築制限の規制緩和や金融支援に向けて国家戦略特区として指定することを官邸主導で検討しており、今月末に政府高官が沖縄入りして現地視察する。
 USJの運営会社が、市場規模の限られた島しょ県でのテーマパーク事業の採算性を慎重に検討する中で、観光客に人気が高い「沖縄美ら海水族館」と一体となったテーマパークを運営することで集客の相乗効果を期待。政府として国有地を提供することで初期投資を抑えることにもつなげる意向とみられる。
 一方で、沖縄の日本復帰を記念した「沖縄国際海洋博覧会」の会場跡地であることなど県民になじみの深い場所でもあり、県関係者からは「水族館を活用して事業をすれば集客できるのは当然だ。特定企業に国営公園を提供して利益供与することに問題はないのか」との指摘も出ており、議論を呼びそうだ。
 海洋博公園は敷地面積77・2ヘクタールで、年間300万人余りが来館する美ら海水族館をはじめ、「熱帯ドリームセンター」「エメラルドビーチ」などの各施設がある。現在、海洋博公園の管理運営は沖縄美ら島財団(花城良廣理事長)が担っているが、財団への委託期間が切れるのに合わせて、USJに指定管理を切り替えることが検討されている。
 菅義偉官房長官は22日午後の会見で「沖縄の振興策の中で、できることはすべて国としては支援していきたいという思いの中で、さまざまなことが検討されている」と述べ、国家戦略特区の指定による規制緩和などの検討を示唆した。
 USJ運営会社のグレン・ガンペル最高経営責任者(CEO)は3月に「東京ディズニーランドや大阪のUSJは下回るが、大規模になる。映画やテレビ番組をテーマにしたパークではない。沖縄の場所に合う物をつくる」と構想を明らかにした。これを受けて官邸で面談した菅官房長官は「政府もしっかりと支援したい」と語っていた。