【チャイナ網路】麻薬汚染の現状


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 20年ほど前、制作を手伝っていた映画の監督に呼び出され、場末の飲み屋に行ったことがある。薄暗い店の奥で彼らが回し飲んでいたのはマリフアナたばこ。後に知り合った俳優も「大麻は簡単に手に入る」とうそぶいた。大麻使用を隠語で「開飯(カイファン)」(食事)と呼ぶほど、台湾では“ポピュラー”なドラッグだ。
 台湾でも芸能界の麻薬汚染は言われて長い。昨年12月には、台北県の板橋地方検察局が、超大物クラスを含むタレント30数人を任意聴取。5月にも大規模な事情聴取を行っている。
 1998年の新条例施行までは厳罰の対象だったが、施行以降、使用者は「患者」と解釈されるようになった。2004年に条例が改正され、再犯者に厳しくなったものの、初犯は不起訴処分が相場だ。麻薬汚染は拡大を続けており、政府は昨年、重度中毒者のための強制収用施設を4カ所新設するにいたっている。
 “芸能人バスターズ”とまで呼ばれはじめた板橋地検。派手な活躍ぶりに「使用者より製造・販売元をたたけ」という内部の不協和音も聞こえる。捜査情報の漏れも絶えず、捜査は苦戦を強いられている。
(渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学准教授)