丈夫なネットハウス考案 石垣・熱研の島尻さん、識名さん


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独自に考案した平張りネットハウスの構造などについて説明する島尻勝人さん(左)と識名安輝さん=21日、石垣市の国立研究開発法人国際農林水産業研究センター熱帯・島嶼研究拠点

 【石垣】石垣市の国立研究開発法人国際農林水産業研究センター熱帯・島嶼研究拠点(熱研)で果樹の研究に取り組む技術専門職員2人が、台風に耐え得る安価な平張りネットハウスを独自に考案した。工事現場で使う足場資材の鉄パイプを使うなど、費用を市販のハウスの6割程度に抑え、組み立て方など構造を工夫することで、台風の被害を軽減させることに成功した。

 考案したのは島尻勝人さん(52)と識名安輝さん(40)。約2年前に設置して実践し、成果を上げている。この業績が認められ、4月に科学技術分野の文部科学大臣表彰「創意工夫功労者賞」に選ばれた。
 熱研ではこれまで、試験作物がたびたび多大な被害を受けていた。ただ研究には露地と近い条件が必要なため、2人は全体をネットで覆うことを前提として、さらに低予算で可能なハウスの開発に取り組んだ。
 考案したハウスは安くて丈夫な鉄パイプを地中に深く打ち込み、頑丈さを確保。さらに斜めにしてハウスの形を台形にすることで、風をできる限り受け流すよう構造を工夫した。天井のネットは上下から挟む形で、細長い線状の樹脂を張り渡して強風によるばたつきを減らし、壊れないようにした。
 21日の受賞伝達式で島尻さんは「まだ改良が必要な部分がある。さらに使いやすいものにしていきたい」と意気込んだ。識名さんは「強度はある。いろんな作物に使える可能性がある」と話した。熱研の関係者はハウスは「試験用」とした上で、将来的には「一般農家への普及につながったらいい」と期待した。