県教育庁 「教室に日本地図」通知


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 県教育庁は3月末、県内全ての県立学校(高校、特別支援学校)に日本地図を教室に掲示し、活用することを求める通知と国土地理院発行の日本地図を配布した。

県教育庁県立学校教育課は通知の意図について「国の形というものを理解してもらうことが目的だ。天気予報で使われる地図は、沖縄が別枠で示されており、位置関係が誤解される場合もある。正しく理解してもらうために掲示を求めた」とした。学校現場からは「なぜ急にいまのタイミングなのか」「領土意識を強化したいのでは」と戸惑いの声も上がっている。
 県立学校教育課は、3月31日に「国土地理院発行の『日本全図』の配布と学校での活用について(依頼)」と題した文書を出した。県の文書発出に先立ち、国交省国土地理院は2014年12月、地図を学校現場で活用するよう協力依頼を求める文書を文部科学省宛てに発出。文科省は15年1月6日、都道府県教育委員会などに地図活用の周知文書を出した。県から小中学校への通知は特に出ていない。
 学校現場での日本地図の活用は、自民党青年局も全国運動として展開している。
 県高教組(福元勇司執行委員長)によると、県による管理調査視察の際、実際に地図を掲示しているか尋ねられた学校が複数あり「正しい地理を学ぶこと自体は否定しないが、掲示の有無までチェックするのは疑問だ」などの声が上がっている。福元委員長は「地図の活用を求めるなら、『国境』や『防衛』を強調するために活用するのではなく、領土問題については日本政府と隣国で意見が分かれていることや、沖縄は歴史的に隣国と友好関係を築いて交流してきたことも伝えてほしい」と話した。