【島人の目】偉大なアメリカ再発見


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 3月下旬から4月上旬の10日間、娘家族が住むメリーランド州で休暇を楽しんだ。ワシントンDCに近く、高くそびえるモニュメント、スミソニアン博物館やポトマック・リバーには何度も足を運んだ。時はイースター(復活祭)・バケーションでDCは人々であふれていた。ことしの米東部の春は遅く、森林や街路樹は4月に入っても枯れ木が林立したような風景であった。日本から100年以上前に寄贈された桜もまだつぼみのままだった。

 それでも、ポトマック・リバー沿いに面したリンカーン・メモリアル近くには、イースタン・レッドバッドやマグノリア(木蓮)、そして1カ所だけだが紅梅・白梅・桃梅が開花して見事だった。
 近隣には新しくマーチン・ルーサー・キング牧師の銅像が建てられていた。同じく暗殺されたジョン・F・ケネディ元大統領ではなく、なぜキング牧師の銅像が建立されたのであろうか。ケネディ氏はアメリカの元大統領で当時の国家最高責任者、一方キング氏は牧師で、名声からするとケネディ氏がはるかに上だろう。
 だがアメリカ国民は銅像建立で、人種差別と闘い黒人の地位向上など公民権運動に生涯をささげたキング氏の功績をより高く評価したと解釈できるのではないか。人権擁護や民主主義を重んじるアメリカ国民の偉大さをしみじみと味わったひと時だった。
 アメリカ東部にハナミズキ(Dogwood)の花が咲き誇るのはもうすぐだ。この花は桜のお返しに日本に贈られた歴史的エピソードを持つ。
 ロサンゼルスへ帰る飛行機の中で前泊博盛沖縄国際大学教授の「沖縄と米軍基地」を読んで考えさせられた。「沖縄県民にとって米軍基地縮小の願いがかなえられるのはいつの日であろうか」と。
(当銘貞夫、ロサンゼルス通信員)