琉球新報社 異常に格好いい
カレンダーは５０万部以上売れ、ネットではその情熱的なパフォーマンスから、「彼が海外に行ったら日本の気温が下がる」という都市伝説までささやかれている男、松岡修造。彼の新刊はその名も『修造ドリル』。彼のポリシーを穴埋めのドリル形式で紹介するエッセーだ。
松岡修造の熱く真面目な人柄、一見とっぴなようでその実、筋の通った価値観、そしてそれらを評価する世間の好感度……。それらが相まってドリルという形式を採ったのだろう。でも、松岡修造は全員にとっての正解じゃ、なくない？ 一億総松岡修造みたいなの、ちょっと嫌だけどな……。と思っていたらどうやら修造自身もそう感じているようで、「みなさんに合っているかどうかはわからない」と冒頭で言っている。本書を参考にしてもいいし、自分で新しい答えを考え出してもいい。「人のふり見て、我がふり伸ばせ！」これが修造のメッセージだという。
本書は「自分を変えるには、いい習慣を身につけること」という考えのもと、７つのテーマで習慣を紹介している。そのテーマは「感じること、工夫すること、準備すること、切り替えること、受け入れること、反省すること、感謝すること」。
読み進めていくうちに、松岡修造という人間が持つ意外な繊細さに気付かされる。プレッシャーに強い方では決してなく、人が自分を悪く言っていることとか、気にしてしまうようだ。そんな人間臭さが垣間見えるからこそ、パーフェクトではないからこそ、「習慣で人は変わる」というテーマに説得力が増す。熱くて真面目な人だとは十分知っていたつもりだったが、その熱さは冷静さによってコントロールされていたことに驚かされた。
松岡修造、思っていた以上に格好いい。が、「思っていた『異常に』」と誤変換してしまったことは、そして、こっちの方が修造っぽいぞと思ってしまったのは、内緒にしておいてください。
（アスコム １０００円＋税）＝アリー・マントワネット
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アリー・マントワネットのプロフィル
アリー・マントワネット ライターとして細々と稼働中。ファッション、アイドル、恋愛観など、女性にまつわる話題に興味あり。尊敬する人物は清水ミチコ。趣味はダイエット、特技はリバウンド。
(共同通信)
