ナマコ乱獲で激減 県、保護へ調査 久米島は禁漁


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県産ナマコの輸出量

 中国向けの輸出増加により県内のナマコが激減している。2012年から香港を中心に台湾やシンガポールなどに輸出が始まった。同年の輸出量は約208トンに上った。しかし、乱獲がたたって2年後の14年には約66%減の約70トンに落ち込んだ。

県は、県海洋技術センターに依頼して初めてナマコの資源量調査に乗り出す意向だ。一部漁協は、ナマコを禁漁にするなど独自の対策をとっている。
 日本は、ナマコを酢の物として食べることが多い。中国で高級食材として珍重され、スープの具材や煮込み料理など多様な調理法がある。中国の経済成長に伴い、ナマコの需要が中国国内で急速に拡大し、北海道を始め全国で乱獲や密漁が発生している。品質にもよるが、北海道産の天然乾燥ナマコが100グラムで約4万円前後で取引されている。
 久米島漁協は、ナマコの資源保護のため4月から17年3月末まで漁業者、漁業関係者以外の遊漁者を対象にナマコの禁漁を決定した。同漁協によると、11年のナマコ収穫量は約28トンだった。しかし、12年の収穫量は10分の1の約3トンにまで落ち込んだ。同漁協関係者は「ナマコは逃げたりしないので、魚に比べて捕りやすい。ここ数年で、ナマコが浅瀬に大量にいるという風景も見られなくなった」と話す。
 県海洋技術センターによると、県内には天然の食用ナマコが十数種類生息している。ナマコはウニやヒトデに近い棘皮(きょくひ)動物に属する。正確なナマコの成体については分かっていないが、出荷するのに最適な約500グラムに成長するまでに、4~5年かかるという。
(上江洲真梨子)