【恩納】教え子に招かれた結婚式に出席すると、実は自分が主人公だった―。村立仲泊中学校38期生のうち約20人は5月24日、恩納村のホテルムーンビーチで当時の恩師である伊波博治さん(60)=うるま市=の還暦を祝おうと、同級生同士の“偽の”結婚式を装って伊波さんを呼び出し、ドッキリ祝賀会を行った。
本物同然に作った「招待状」の日付は4月1日のエープリルフール。2月から準備にいそしんだ大計画は、恩師のうれしい笑顔で完成した。
「ともや&かおり おめでとう」の幕が外されるとそこには「伊波博治先生 還暦祝賀会」の文字が躍る。「ドッキリ」と書かれたプラカードを持った、伊波さんの妻の庸子(つねこ)さん(61)が登場した。
出席者はクラッカーと拍手で祝福。笑いの止まらない伊波さんからは、他の誰にもまねできないほど愉快に「だましやがって」が飛び出した。
教え子と食事を楽しみながら、約200枚もある思い出写真スライドが当時の記憶を呼び覚まし、会場は拍手と笑い声に包まれた。
伊波さんは2、3学年の時の担任だった。1学級しかなく同級生はみんな仲良し。2学年から3学年に進級する際「3年も担任は伊波先生がいい」と校長に直談判する生徒もいた。
伊波さんは自宅のカレンダーに「結婚式」の予定を書き込み、心待ちにしていた。「何かおかしいなー」と思っていたというが、式当日付の新聞にたまたま二人が隣同士で映る写真を発見し、本当に結婚するものだとすっかり思い込んでいた。「こんなサプライズ、うれしい。先生冥利(みょうり)に尽きる」と終始笑顔がにじんだ。
共に仕掛け人をした庸子さんは「仲のいいクラスと聞いていた。感謝の気持ちでいっぱいです」と伊波さんの横で話した。
この計画の中心人物でもあった當山直彦さん(44)は式の開始前、「伊波先生に『うまく大人になってくれたなー』と喜んでもらいたい」と話していた。その場の誰もが疑わない「ドッキリ大成功」。いくつになっても一緒にわくわくできる仲間と、恩師の思い出をつくり上げた。
(長浜良起)