ミスマッチ改善へ IT企業と学生、交流通し人材育成も


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 ウェブ戦略支援を手掛けるAJIMA(アジマ、那覇市、呉屋真也社長)が、IT業界における高い離職率の改善に向けた取り組みを展開している。昨年12月、県内IT企業の関係者と学生の交流イベント「OTONA(オトナ)シリーズ」を始動。登壇する企業の代表者や社員は社の事業内容だけでなく、自身の社会人経験や働くことへの考え方まで幅広く伝える。学生が自身の将来像を描く材料を提供することで、雇用のミスマッチの改善や人材育成の強化につなげる。

 イベントはこれまで県内のライブハウスと大学で計4回開催した。
 毎回県内IT企業の関係者が有志で登壇し、次代を担う人材の卵たちにメッセージを送る。
 「県内のIT業界はこれまで県外企業の下請けがメーンだったが、努力次第で沖縄から新しい技術やサービスを発信することもできる」と業界の発展に向け力を込める呉屋社長。「OTONA」には「企業人ではなく、大人として、社会人の先輩として学生と接する」との意味を込めた。
 5月21日に琉球大学で開催した「OTONA6(シックス)」では、県内6社の代表者と社員が登壇し、学生約20人が耳を傾けた。
 登壇したクオリサイトテクノロジーズ管理部の松村隆之部長は、働く姿勢について「働くモチベーションは人それぞれ違う。ただ一つのミスが仕事相手に損失を与えることもある。誰のために、何のために働いているかは明確にするべきだ」と語った。
 ラソナ沖縄事業所の篠原周平マネジャーは、IT未経験者について「IT技術は進化を続けている。そういう意味で日々勉強だが、未経験でも学べばいい。私も元はアパレル関係で働いていた」と話した。
 プロトデータセンター管理部の名嘉隆二総務人事課長は「沖縄の人の手で沖縄を盛り上げていくことが私の目標だ。子どもたちが『将来プロトで働きたい』と思える会社をつくる」と夢を語った。
 イベントは今後3カ月に1回をめどに開催する。専用ホームページやフリーペーパーの作成も計画中だ。呉屋社長は「やりたい仕事や生き方を考え、目的を持って就職する学生が増えてほしい」とイベントの意義を語った。
(長嶺真輝)

自身がIT業界を選択した理由や仕事内容、各社の特徴を大学生に伝える登壇者ら=5月21日、西原町の琉球大学
呉屋真也氏