沖縄県立埋蔵文化財センター(下地英輝所長)が7日までにまとめた2010~14年度の戦争遺跡調査では、県内の戦争遺跡が1076カ所(うち13カ所は開発などで消失)と判明した。
05年度にまとめた前回調査で把握されていた979カ所から97カ所増えた。うち145カ所を考古学的観点を踏まえて詳細に調査した。今回新たに確認された遺跡は喜屋武海軍望楼跡(糸満市)、西表海軍望楼跡(竹富町)など18カ所。存在は確認されていたが、測量などで詳細な状況が判明した遺跡は58カ所だった。
県は調査結果を基に戦争遺跡の埋蔵文化財指定に向けた作業に着手するが「新たな遺跡が発見される可能性もあり、今後の詳細な調査が進めば戦争遺跡の重要性がさらに認識されるだろう」と話している。
新たに確認された18カ所のうち南北大東島では、海岸沿いに構築された銃眼などがあった。県は「南方作戦の重要な防空拠点として飛行場や関連施設が造られ、地上戦がなかったこともあり良好に残存している。今回集中的に調査し、より多くの情報が得られた」とした。
ほかに3カ所しか現存が確認されていない中城湾臨時要塞のうち、米軍基地として接収されたため開発を逃れた平敷屋砲台跡について県は「砲台跡だけでなく通路なども現存している。より詳細な調査・測量が早急に求められる」と重要性を指摘。陸軍宮古島中飛行場の上野戦闘指揮所跡についても「まだ地中に残されている可能性があり、今後の発掘などによる確認調査が期待される」としている。
調査内容を検討した県戦争遺跡詳細確認調査検討委員会(當眞嗣一委員長)は「分布調査で位置、概略などを把握し、分布図などを作成・公開する」ことなどを県に要望。開発にさらされる場合は記録保存、発掘調査を優先的に行うよう求めている。また遺骨収集についても「埋蔵文化財として取り扱えるよう関係機関・団体との連携が必要」と指摘した。(宮城隆尋)