島ラッキョウ、楽に皮むき 新機器開発、作業も半減


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農家や加工所など関係者が「島ラッキョウ皮むき器」を体験した実演会=9日、糸満市の県農業研究センター

 県農業研究センターは圧縮空気を使った「島ラッキョウ皮むき器」を開発し、9日に糸満市の同センターで、農家や加工業者らを集めた実演会を催した。直径3センチの筒に島ラッキョウを1本ずつ差し込んで球根部分の皮を風圧で吹き飛ばし、手作業よりも作業時間を半減できるという。

参加者からは「農家にとっては画期的」と歓声が上がった。特許を出願中で、タイガー産業(うるま市)が製品化を進める。
 沖縄は全国6位のラッキョウの生産地で、2012年度の収穫量は655トンだった。土の付いた皮をむいて袋詰めする作業は全て人力で行われており、手間がかかる上、臭いが手に付くことが敬遠されるという。県農業研究センターは島野菜普及の一環として、約2年をかけて皮むき器の開発に取り組んだ。
 同センターの玉城麿主任研究員は「価格の上下動があるが、市場からはもっと売れるという声もある。農家や加工所の省力化を支援し、販路拡大につなげたい」と開発の狙いを語る。
 実演会には60人余りが参加し、関心の高さを見せた。足元のフットスイッチで風量を調整しながら、土の付いた島ラッキョウが10秒弱で皮のむけたきれいな状態になる。奈良和江さん(糸満市)は「若い人は土付きの野菜を好まないので、スーパーに出荷するには皮をむかないといけない。畑の収穫もしながら、皮むきは朝から夜まで1日がかり。刃物を使うので集中力が要る大変な作業だが、この機械があればとても楽だ」と語った。
 一方、現状で皮むき器一式の販売価格は8~10万円で、多くの注文が集まるようなら価格の低下を検討していけるという。一定の圧力を備えたコンプレッサーを別途用意する必要もあり、農家単位よりも各地の集出荷場や加工所などに導入を進めていくことになりそうだ。