依存症、絵本で予防 勉強会で活用 ネットで翻訳費募る


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依存症の予防に力を入れたいと「絵本翻訳プロジェクト」への寄付を呼び掛ける位田忠臣さん=10日、那覇市東町の「セレニティパークジャパン沖縄」

 アルコールやギャンブル依存など依存症からの回復を支援する自助組織「ワンネスグループ」(本部・奈良県)は、依存症の予防教育に用いる英語版絵本の翻訳費用などをクラウドファンディングで募集している。日本語に翻訳した絵本は、子育て中や妊娠中の女性向けの勉強会で活用する考え。

グループを構成するセレニティパークジャパン沖縄(那覇市)によると、依存症の問題に巻き込まれて、健全に育つことができなかった子どもは将来、依存症になる確率が高いといわれている。同沖縄の位田忠臣(ただおみ)さんは「依存症の対症療法には限界があり、予防に力を入れたい」と賛同を呼び掛けている。
 絵本は「アダルトチルドレン」という概念を生み出した社会心理学博士のクラウディア・ブラックさん=米国在住=が手掛けた。アルコールなどの依存を抱える親の姿を子どもの視点から描く内容で、アルコールと薬物はドミノ倒しのように、当事者と周囲を倒していくという表現が胸に迫る。
 認定アディクションカウンセラーとして活動する位田さんは「依存症の相談者の中には、幼少時代に依存に巻き込まれて常に親の顔色をうかがったり、親にコントロールされて育ってきたりした人も多い」と指摘。「絵本を普及する活動が広まったら、依存症に苦しむ家族やお母さんたちが減っていくと思う」と期待した。
 同グループは「絵本翻訳プロジェクト」と名付け、クラウドファンディングで100万円を目標に寄付を募る。期限は6月28日の午後11時。寄付金は翻訳代のほか、ワークショップの運営費、日本語版絵本の無料配布などに活用する。
 クラウドファンディングは、キャンペーンの趣旨に賛同する人からネット上で寄付を募る仕組み。今プロジェクトは「依存で困ったらワンネス」で検索し、同グループのホームページからキャンペーンに入っていける。