県産モズク4割減も 15年産、日照不足や低水温要因


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 2015年産(14年12月~15年7月)の県産モズク生産量が、前年比約3~4割減少する見込みだ。県もずく養殖業振興協議会(会長・国吉真孝県魚連会長)は「モズクの芽が育つ苗床で日照不足や水温が低かったことが原因」と分析する。モズク産地から「昨年の豊作から一転、今期は不作だ」と落胆の声が漏れた。生産量減のため一部で高値取引も見られる。

 県内のモズク生産量は、全国1位。14年産は、天候にも恵まれ7年ぶりに2万トンを超える豊作だった。県もずく養殖業振興協議会は当初、15年産モズクの目標生産量を1万9千トンとしていた。しかし現在は「昨年の6割弱で減産は免れない」とみている。
 減産の原因として同協議会は「モズクの芽が育つ苗床での日照不足や低海水温が原因」とみている。さらに「収穫前の5月に襲来した台風で一部モズクが切れたのも影響した」という。
 県産モズクの3割に当たる6千トンを生産する勝連漁協は、例年7月上旬までモズクの収穫が続く。しかし、今期は収穫量が少ないため約9割の生産者がモズクを張る網を陸に上げ、半月早く出荷を終えた。同漁協担当者は「台風の影響も多少はあったが、減産の最大要因ではない」と語る。漁業者は「天気も良く、網に張ったモズクが根を出し始める『根だし』も順調だった。なぜ不作なのか分からない」と原因不明の不作に頭を抱える。
 14年に約4700トンと過去最高の生産量を記録した知念漁協は、今期の生産量を前年比57・4%減の約2千トンを見込んでいる。担当者は「今期は、生産量も少なく品質も落ちる。年末には、県内の飲食店からモズク商品が消えるだろう」と懸念する。
 食品加工メーカーが漁協から買い取る受注発注の1キロ当たり価格は、135円前後と前年比同様だという。一方、漁協を通さずに漁業者が直接メーカーと価格交渉を行う「浜売り」は、モズクの獲得に奔走する業者が殺到し1キロ当たり10~15円高の145~150円で取引されているという。(上江洲真梨子)