社会

「戦争被害」「ハンセン病差別」負の歴史、直視を 愛楽園でシンポ

ハンセン病の歴史資料館「交流会館」の意義や可能性などについて報告したシンポジウムの登壇者=12日、名護市済井出の沖縄愛楽園

 【名護】国立療養所沖縄愛楽園(名護市)の「交流会館」開館を記念したシンポジウム「ハンセン病歴史資料館をひらく~平和と共生のために」が14日、名護市済井出の園内にある同会館で開催された。

150人が参加し、会場はほぼ満員になった。登壇者は交流会館について、戦争被害とハンセン病の患者・回復者という二つのテーマによる国内唯一の資料館としての重要性を強調。ハンセン病に関する誤った認識や強制隔離政策の歴史を理解し考えさせる拠点として、地域で生かされ続けていくことの必要性を確認し合った。
 東京学芸大の君塚仁彦教授(博物館学)は「ハンセン病資料館の可能性や未来に期待するもの」をテーマに基調講演した。君塚氏はハンセン病や戦争という史実に関する授業で、学生から「暗い歴史を学ぶ意味はあるのか」「何が楽しいのか」などの声が上がると報告。沖縄の基地被害や植民地責任などと同様、負の歴史や現実を遠ざけようという捉え方と「相通じるものがある」と指摘した。
 そのような意識を払拭(ふっしょく)させるためにも、過去と現在が結び付いていることを感じられる「見て、考える場所」として資料館の活用に期待した。
 討論会には君塚氏のほか、交流会館の企画・運営委員会委員長を務めた作家の大城貞俊氏、沖縄愛楽園自治会長の金城雅春氏、南風原文化センター学芸員の平良次子氏が登壇。フリーライターの山城紀子氏が進行役を担った。
 登壇者は「同じ過ちを繰り返さないためにも、国が間違えることもあることを学んでほしい」「差別の歴史が実際にあった地で、証言の言葉一つ一つをかみしめられることは大きな意味がある」などと述べ、会館の意義を強調。「資料館の完成はスタートにすぎない」とし、回復者や学芸員、地域がアイデアを出し合い、子どもたちにも足を運びやすい記録の継承施設としての将来像を展望した。
 3時間ほどのシンポジウムに聞き入った瀬長卓哉さん(21)=学生、那覇市=は「交流会館が差別や偏見の改善につながってくれると思う。人権問題については当時者にどれだけ共感できるかが課題だと感じた」と話した。
 交流会館はハンセン病の歴史と人権を考えてもらう資料館として整備された。1日から一般公開され、今回のシンポジウムが第1弾企画。



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