「基地に生産性ない」 前泊教授、自衛隊誘致めぐり講演


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 【宮古島】宮古島への陸上自衛隊配備が検討される中「自衛隊配備で宮古島はどうなる」と題した講演会が6日、宮古島市で開かれた。宮古島出身の前泊博盛沖縄国際大教授が演壇に立ち、配備賛成派が経済活性化を強調していることを念頭に「残念ながら自衛隊を誘致し(中長期的に)人口が増えた所はない」と話し、基地に依存しない経済活性化の可能性を指摘した。

 講演会は「止めよう!自衛隊配備宮古郡民の会」が主催した。
 前泊氏は、既に沖縄本島にある基地の内と外で経済波及効果に大きな格差が生じていることに触れ「(税金が財源の)基地経済は、いくらやっても民間経済を超える生産性はない」と指摘した。
 防衛省が尖閣諸島をはじめとした島嶼(とうしょ)防衛を自衛隊配備の理由としていることに「もともとは(2012年当時の)東京都知事と首相による尖閣国有化が(緊張の)発端」と指摘。「問題に火を付けた人の責任は問われず、火を消すこともできぬまま地域を混乱させ、自衛隊を配備しようとすること自体が不合理な話だ」と政府の対応を批判した。
 さらに「基地は(敵を引き寄せる)磁石」とした上で「米国は海外基地がないと本国が攻撃されるから、なくせない。宮古島は磁石になってほしくない」と語った。
 また「人が住まない島に領土問題は起こる」と述べ「島で豊かに、安全に暮らす策を考えるのが先」と強調。石垣港のような大型クルーズ船寄港に対応した岸壁の整備など、宮古経済活性化に向け「できることは山ほどある」と訴えた。宮古島の経済振興のためのプロジェクトチームを立ち上げるよう提言した。

ユーモアを交えた講演に熱心に聞き入る参加者ら=6日、宮古島マリンターミナル
前泊博盛教授