『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 血湧き肉躍る疾走バトル


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 いいですね。荒涼とした近未来へとって付けたような警鐘を鳴らすでもなく、悪の理論を振りかざすワケでもなく、ド・ストレートなカーアクション。いや、実際は近未来では水を制した者が世界を制するとか、奇病が蔓延するとかいろいろあるのだけど。でもそれ以上に、最初から最後まで走りっぱなしの中で繰り広げられるマッドマックスwith美女軍団VS武装集団のバトルに、こちらまで血湧き肉躍る。

なにより、大作のわりには120分という程よい時間で疾走感をキープ。前作なんてすっかり忘れちゃった筆者でも無条件で楽しめるのだから、エンターテインメントとして優秀。
 その立役者と言えるのが、凶悪な武装軍団からの反逆を試みるフュリオサ大隊長役のシャリ姉さんこと、シャーリーズ・セロン。『モンスター』でアカデミー賞主演女優賞を受賞した後も、体を張って、挑戦することを止めない。それは米俳優ショーン・ペンと交際中というプライベートにも彼女の生きざまは現れているが。それにしたって、キャラクターの濃い連中に囲まれても際立ってしまう存在感、肝の太さ、そして女も惚れるカッコ良さ。さほど活躍していないマッドマックスじゃなく、タイトルを「フュリオサ」に変えた方がいいんじゃないかと思うくらいだ。
 そんなシャリ姉さんも今年で40歳。世界最強アラフォーなり。★★★★★(中山治美)

 【データ】
監督・脚本・製作:ジョージ・ミラー
脚本:ブレンダン・マッカーシー、ニコ・ラソウリス
出演:トム・ハーディ、シャーリーズ・セロン、ニコラス・ホルト
6月20日(土)から全国公開
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中山治美のプロフィル
 なかやま・はるみ 映画ジャーナリスト。1969年水戸出身。スポーツ紙出身の血が騒ぎ、撮影現場やカンヌ、ベネチアなど映画祭取材に燃える。三池崇史、深作欣二、キム・キドク、アキ・カウリスマキなどひとクセのあるオヤジたちが大好き。
(共同通信)

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中山治美