大城立裕さん受賞に喜び 川端康成文学賞、東京で贈呈式


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川端康成文学賞を贈られあいさつする大城立裕氏=港区のホテルオークラ東京

 【東京】第41回川端康成文学賞(川端康成記念会主催)の贈呈式が26日、東京・港区のホテルオークラ東京であり、小説「レールの向こう」で受賞した大城立裕さん(89)に特製本などが贈られた。選考委員の辻原登氏は受賞作を紹介し、「極めて卓抜した技巧と、深い悲しみ、救済の物語に審査員一同感嘆した」と評した。

 大城さんは「過去に『なぜ私小説を書かないか』と問われ、『沖縄の私小説を書いている』と答えていたが、妻の病で図らずも初めて私小説を書いた。人生の残り火のような時期に賞を得たことをありがたく思う」とあいさつした。
 受賞作「レールの向こう」は、倒れた妻の看病に追われる「私」が、急逝した作家の追悼特集号への原稿を依頼されて断るという実体験を基にした、大城さんにとって初めての私小説。急逝した作家のモデルは2013年に63歳で亡くなった詩人の真久田正さん。