台湾入植者の歩み再現 映画「はるかなるオンライ山」完成


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完成披露試写会に訪れた人たち=22日、石垣市民会館

 【石垣】戦前、台湾から石垣島に入植し苦しみながらもパイナップル産業を興した台湾の人たちの物語を描いたドキュメンタリー映画「はるかなるオンライ山~八重山・沖縄パイン渡来記~」(本郷義明監督)の完成披露試写会が22日、出演者ら関係者を招いて、石垣市民会館で開かれた。

 オンライは、台湾でパイナップルを意味する。戦前にパイン産業を石垣島に根付かせようと台湾から渡ってきた入植者はパイン栽培の定着に向けて奮闘するが、沖縄と台湾の文化の違いや人間関係の構築に揺れ、さらには太平洋戦争の中でパインがぜいたく品として栽培を禁じられるなど苦難の道を歩んだ。
 映画は入植者が地元の人たちとやりとりする場面を役者が再現しているほか、石垣島で今も活躍する2世や3世も語っている。台湾ロケも行い、当時の台湾から石垣島への入植の様子や台湾で漁業に尽力した八重山の人たちの姿を知る関係者にインタビューし、台湾と沖縄の若者の文化交流の様子も追い掛けている。
 ジャーナリストの三木健さんが原案で、シネマ沖縄と琉球新報社が製作委員会を立ち上げた。監督の本郷氏は「よみがえる琉球芸能 江戸上り」「徐葆光が見た琉球~琉球と冊封」などの作品を手掛けている。
 映画に登場した2世の王滝志隆さん(60)は「素晴らしい記録を残してくれた。頑張ってきた先輩の思いを多くの人に見てほしい。台湾と沖縄の交流が発展することも願っている」と期待した。
 7月15日午後6時半から市民会館で、市民向けの無料上映会を開く。