『INTERIOR TRIP』雅姫著


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みんなほんとに満足してる?
 よっ、雅姫様! 今日も姫の名にふさわしく、見目麗しいお姿です。どうでもいいけど「雅姫」って本名なんでしょうか。本名だとしても芸名だとしても、全国に向けて姫を名乗る精神、見習いたいっす。私なんて、愛用のパソコンまでも「姫」の字、一発変換で出てこないもんね。はいはい似合いませんとも。

 姫の新刊はインテリアの本。帯に「雅姫が巡る、15の居心地がいい家」とある通り、知人友人の自宅を訪ねて、それぞれの自宅のこだわりを紹介する、というものです。
 それにしても「居心地がいい部屋」の定義って、人によってこんなにも異なるか……と驚きを隠せません。知人友人はスタイリストに雑貨屋オーナー、花屋にイラストレーターと、みなさん美意識の高そうな方ばかり。当然、部屋はどこもかしこも、台拭き一枚の掛け方さえもこだわりがありそうな感じがビシバシに伝わってきます。台拭き1枚の掛け方っすよ。息詰ま……いえ何でもありません。
 本書を読み終わり、ふと子供の頃に父親から聞いた話を思い出しました。後輩の結婚式に行ってきた父、帰ってくるやいなや「今日の花嫁さんの髪形がすごかった」と言います。聞くと「風になびいているような、少しラフなスタイルなんだ。でも実際風が吹くと、なびいているような髪形のまま1ミリも動かないんだよね~」と。きっと頭、カッチカチなんでしょう。隙がありそうで、その隙さえも計算されているということでしょう。
 紹介されている部屋もそんな感じなんですよ。例えば子供が幼かった頃の絵を無造作に飾っていたりするのも、「この絵はインテリア的にアリ、この絵はナシ」とかジャッジしてそうなんですよね。そのブレない精神、皆さんお見事です……ですが、そうして出来上がった「居心地の良さ」は、本当に家族全員が共有しているのかな、みんなそれなりに満足しているのかな。というのが気にならなくなりませんが。
 え? ちなみに私にとっての「居心地がいい部屋」ですか? そりゃー、リモコンもおやつも携帯電話も、ぜーんぶが手を伸ばしたら届く部屋に決まってるじゃないすか!
 (集英社 1713円+税)=アリー・マントワネット
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アリー・マントワネットのプロフィル
 アリー・マントワネット ライターとして細々と稼働中。ファッション、アイドル、恋愛観など、女性にまつわる話題に興味あり。尊敬する人物は清水ミチコ。趣味はダイエット、特技はリバウンド。
(共同通信)

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