教育部(文科省)は5月30日、台湾で最も多く話されている方言の表記法「台湾虫南語常用300詞」を発表した。郷土への理解向上と郷土愛をはぐくむため、2001年度から小中学校の正規科目となった方言教育。教科書は来年度、やっと表記法が統一される。
戦後の戒厳令下、日本植民地時代の影を残す台湾方言は、“正統中国”を歌う国民党政権によって抑圧され続けた。1987年戒厳令が解除されると方言文化は一気に開花。文学作品やヒット曲として復権を遂げる。が、表記はまちまち。表記すること自体少なかった方言に正書法はない。
政府は方言教育を始めるべく、虫南語に残る古い語彙(ごい)の表記法「本字」の調査を1995年から始め、教会のローマ字表記法など従来の表記法も視野に入れて、今回の統一に至った。しかし、一般市民への普及は依然問題だ。
そこで政府が考えた奇策が、台湾語カラオケの歌詞を全面改訂し、歌いながら新表記法を覚えてもらおうというもの。実のところ、全く新しい表記法はほんの一部。作詞家から抗議は出ているが、案外有効な方策かもしれない。
(渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学准教授)
【チャイナ網路】方言の正書法
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琉球新報社
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