『ターミネーター:新起動/ジェニシス』


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いぶし銀のシュワちゃん
 シリーズにシュワちゃんが復帰したことで話題の『ターミネーター』第5作。興行的に失敗した『ターミネーター4』からの仕切り直しとなった本作を特徴づけているのは、“既視感”である。

 例えば、第1作の舞台となった1984年に未来からT-800とカイル・リースが転送されてくる序盤は、第1作そのまんまと言えるほどそっくり。ところが、そこに現れたサラ・コナーは1作目のか弱い彼女ではなく、T2(第2作)の設定をなぞるかのようにシュワちゃん扮するT-800に鍛え上げられた屈強な女戦士なのである。しかも襲い来るのは液体金属のT-1000…。つまり、ジェームズ・キャメロンが監督した第1作とT2へのリスペクトに満ちているのだ。
 それこそが、決して悪い出来ではなかった第4作の教訓から製作サイドが導き出した答えに違いない。“『ターミネーター』らしさ”とは何か? その筆頭と言えるシュワちゃんの、今年68歳になるご老体を逆手に取った設定の妙と、いぶし銀のカッコ良さときたら! やはりシュワちゃんには人間以外の役が本当によく似合う。さらには、サラ・コナー役の新星エミリア・クラークのアイドル級のかわいさも貢献度大だけに、恐らく今度は大丈夫だろう。本作が、シリーズの新たな3部作を“新起動”させるはずである。★★★★☆(外山真也)

 【データ】
監督:アラン・テイラー
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、エミリア・クラーク
7月10日(金)から全国公開
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外山真也のプロフィル
 とやま・しんや 映画ライター&時々編集者。1966年愛知県出身。学生時代はヨーロッパ映画を中心に見ていたが、情報誌の仕事が長かったため、今は洋の東西を問わず、単館系からハリウッドまで幅広くが信条。主な執筆媒体:月刊TVfan、日本映画navi、ぴあ各誌。
(共同通信)