ヨウ素活用へ調査 県、事業化で企業誘致視野


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 県は医薬品や電子機器などに利用できるヨウ素の事業可能性を調査する「天然ガス資源活用促進に向けたヨウ素の利活用に関する調査事業」を2015年度に実施する。県が14年度まで実施してきた天然ガス試掘事業で、水溶性天然ガスとヨウ素が検出されたため、8月からヨウ素の成分分析と賦存量(理論的に導き出された総量)を調査し、事業活用の可能性を検討する。

 ヨウ素はうがい薬や消毒薬、レントゲン造影剤など医療分野のほか、液晶テレビの偏光フィルムの素材などに利用されており、汎用(はんよう)性が高い。県の担当者は「採算が見込めれば、薬品メーカーや鉱業メーカーなど企業誘致の可能性も出てくる」としている。
 調査は、那覇市や南城市のほか、琉球政府時代など過去にも地質調査が行われ、天然ガスの貯留槽として可能性の高い糸満市や既存の温泉施設など本島南部を中心に実施する。
 県は、天然ガス活用の可能性を探るため、13~14年度にかけて、宮古島市城辺、那覇市奥武山、南城市大里の3カ所で天然ガスを試掘した。その結果、3カ所全てで水溶性天然ガスとヨウ素が検出された。
 県がまとめた報告書によると、1リットル当たりのヨウ素濃度は、宮古が23・5ミリグラム、那覇が40・9ミリグラム、大里が35・0ミリグラムだった。過去の調査では、糸満市大里や具志頭などは1リットル当たり約80~90ミリグラムの濃度のヨウ素が検出されている。
 天然ガスが採掘された南城ユインチ鉱山で所長を務めた大見謝恒慈路氏は「県産の天然エネルギーを利用できる仕組みを整えれば産業振興に与える影響は大きい。沖縄で弱い製造業に与える影響はあるのではないか」と述べた。
(阪口彩子)