県内耕作放棄地4.1%減 14年「見える化運動」など奏功


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 沖縄県内の耕作放棄地の解消が着実に進んでいる。県農政経済課がまとめた2014年の荒廃農地(耕作放棄地)調査結果によると、県全体の耕作放棄地面積は前年比4.1%減の2493ヘクタールだった。「見える化運動」など各地域の独自の取り組みや、再生利用交付金の活用が奏功し、11年から4年連続で減少している。

 農林水産省の統計によると、13年の全国の耕作放棄地面積は約27万3千ヘクタール。沖縄県の面積の約1.2倍に相当する。統計を取り始めた09年から約28万ヘクタール前後で推移している。14年の県内の耕作放棄地は北部や中部を中心に、229ヘクタール発生したが、338ヘクタールを解消して農地に再生した。全耕地面積に占める耕作放棄地の割合は6.4%。
 耕作放棄地の減少は、耕作放棄地解消の取り組みに対して国が全般的に支援する「耕作放棄地再生利用緊急対策」事業活用のほか、各地域の農業委員会の取り組みが大きいという。
 県内の農業委員会の中でも、独自の取り組みを行っているのがうるま市農業委員会だ。同市の農業委員会は13年度から「見える化運動」を始めた。同市内の遊休地、耕作放棄地を草刈り整地し、元の畑に再生し、担い手へ貸し出す取り組みだ。その結果、14年度は、67.1ヘクタールの耕作放棄地のうち、約2割の12.3ヘクタールを農地へ転換した。
 こうした取り組みが評価され、ことし5月に耕作放棄地の発生防止、解消に努めた団体などに贈られる「全国農業会議所会長賞」を受賞した。
 うるま市農業委員会の山口榮勝会長は「農業委員会が直接足を運び、所有者の意向を確認していくことで耕作放棄地の解消につながる」と分析している。その上で「農業委員会と農地所有者がうまく話し合える環境をつくることで、担い手の育成にも貢献できる」と話した。(上江洲真梨子)

<用語>耕作放棄地
 過去1年以上作物を栽培せず、今後数年の間にも再び耕作する予定のない農地。農家の高齢化や後継者の不在により拡大を続けている。