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『戦場ぬ止み』 基地めぐる沖縄住民の戦い

 本作を見ると、最近の百田某の発言とか、同調している国会議員の態度を、沖縄の人たちはどれだけ悔しい思いで聞いていたのだろうと想像して涙が出てくる。

 今まさに行われている新基地建設を含めた沖縄の米軍基地を巡る住民の戦いを、肉薄した映像で見せるドキュメンタリー。そこには沖縄戦で重傷を負いながら生き延びたおばぁの戦争への憎しみや、基地と共に生きる道を選んだ辺野古住民の歴史と本音、政府からの補償金が振り込まれ黙らざるを得ない漁師たちの苦悩、そして自分たちの先祖が体を張って守ってきた土地を未来へ繋げようと立ち上がった子供たちの姿も映し出す。だが…。あの沖縄県民が県知事選や衆院選で新基地建設にNOを突きつけたにも関わらず中央で無視されている状況と同じで、この彼らのメッセージがなんで届かないのだろうと思うと、余計に哀しみが増すのだが。あぁ、歯がゆい。
 監督は、元琉球朝日放送の三上智恵。在職時代に製作した前作『標的の村』で沖縄の基地建設の歴史と、住民を欺いてきた国策を暴いて数々の賞を受賞したが、いろいろあってフリーに。しかし、引き続き基地問題を追い続けた執念、そのパワーには脱帽。今回はナレーションや編集にその道の一線級が参加し、映画のクオリティーも上がった。何より監督の「現状を伝えたい」という熱い思いが迫ってくる。力作だ。★★★★★(中山治美)

 【データ】
監督:三上智恵
音楽:小室等
ナレーション:Cocco
7月18日(土)から全国順次公開
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中山治美のプロフィル
 なかやま・はるみ 映画ジャーナリスト。1969年水戸出身。スポーツ紙出身の血が騒ぎ、撮影現場やカンヌ、ベネチアなど映画祭取材に燃える。三池崇史、深作欣二、キム・キドク、アキ・カウリスマキなどひとクセのあるオヤジたちが大好き
(共同通信)


(C)2015『戦場ぬ止み』製作委員会

中山治美


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