在沖海兵隊移転先 グアム基地建設規模縮小


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 【ワシントン=問山栄恵本紙特派員】米国務省は17日、在沖米海兵隊のグアム移転に伴う環境影響評価(アセスメント)の補足文書の最終版を公表した。グアムへ移転する海兵隊の規模を縮小することなどで合意した2012年の在日米軍再編見直しを受け、10年に作成したアセスと比べ、建設する基地の規模を縮小している。

地域のコミュニティーや自然、文化遺産、観光施設への影響を考慮して、新たな土地の取得を最低限とし、既存の米軍施設や基地周辺を使用することが明記された。
 地元への配慮や意向が反映された同最終版から、辺野古移設を強行している姿勢との「二重基準」が鮮明となった。
 10年作成のアセスでは、米軍は1688エーカーのグアム政府や個人所有の土地の提供を求めていた。だが最終版では海兵隊の運用基地は既存の海軍の通信施設内に設置することになったほか、兵舎もアンダーセン空軍基地内とし、家族用の住宅も同基地付近に設置するとした。
 建設位置が論議になっていた射撃演習場の整備については、海軍が従来検討していた先住民族居住地の代わりに、アンダーセン空軍基地の北西部に設置する。
 野生生物など自然や環境保護にも配慮し、開発地域と海岸線との間に緩衝地域を維持することや、米軍が自生の野生生物生息地の回復や管理などを実施することに合意したと記されている。
 移転に要する期間も10年作成のアセスで示した「5年以上」から「12年以上」と記され、大幅に延長されることがあらためて浮き彫りになった。日米両政府が13年に発表した嘉手納より南の基地の統合・返還計画は浦添市の牧港補給地区のうち、海側の142ヘクタールについて「24年度またはその後」の海兵隊の国外移転後に返還するとしている。移転期間の延長で、返還に大幅な遅れが生じることが確実となった。
 地元紙によると、カルボ知事は「数年間に国防総省と知事側の間で作られた協定が尊重されている」との声明を発表した。