女性の参画不十分 農業委員6%、農協役員7%


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女性農業者の活躍状況アンケート結果

 沖縄総合事務局農林水産部は、女性農業者の現状と課題を報告する「沖縄の農林水産業における『うないパワー』」をまとめた。県内農業従事者2万2600人のうち37%の8400人が女性だが、農業委員に占める女性の割合は6・2%、農協役員に占める割合は7・3%と極めて低水準で、報告は「農業経営や地域社会の意思決定の場への女性の参画は不十分」と指摘した。

6次産業化や有機農業など付加価値の高い農業に女性の視点が生かされる一方で、「体力」「機械操作」「家事・育児との両立」などの実態がアンケートで分かった。
 調査は、16日に公表した「2014年度沖縄農林水産業の情勢報告」の一環で特集した。女性農業者は日々の業務をしながら家事・育児・介護に携わっているケースも多く、担い手不足に悩む農業分野での女性活用に向け、家族や社会のサポート体制のほかワークライフバランス改善の必要性を提起している。
 県内の女性農業者150人を対象にしたアンケートでは、40代以上では家族経営で農業に参加している人が多かったが、20~30代の半数は法人就職の形で農業に携わっている。
 就農理由を複数回答で聞いたところ、「農業が好き・やりがいがある」が46%と最多。「配偶者が農業に携わり、就農の必要があった」(41%)、「食品の安全性や品質に興味がある・有機農業をやりたい」(35%)と続いた。
 女性の視点が生かされている点では「健康・食育に対する視点」が60%に上り、「加工・販売」「細やかな姿勢・着眼」「明るく活気ある雰囲気づくり」などの割合が高かった。
 一方、女性であるために直面した課題では、回答者の4割が「体力」を挙げた。「機械操作」と「家事・育児の両立」も3割が課題として認識している。具体的な意見では「重いものが持てない。疲れがたまり家事をする元気がなくなる」「農業委員にトイレの設置を要望したが、女性の立場が弱くできなかった」などの声があった。
 沖縄総合事務局は「家族経営は経営と生活の境目が明確でなく、役割分担や労働時間・報酬が曖昧になりやすいことでストレスが生じやすい」と指摘。行政の取り組みとして就業条件や経営方針を第三者の立ち会いの下で取り決める「家族経営協定」の普及啓発や、企業・団体との連携で新規就農を促進する「農業女子プロジェクト」の展開などを説明した。