【宮古島】宮古島市が2014年度、公費を投入して不法投棄ごみを撤去したはずの現場に依然として大量のごみが残っていることが発覚した。「危険な場所にあるものまで取らなくていい」というのが市側の言い分だが、市は「撤去完了」を受け、4月に下地敏彦市長が宣言した「不法投棄ごみゼロ」について「一部説明不足だった。申し訳ない」と修正するなど波紋が広がっている。
問題は7月3日の市議会6月定例会で亀浜玲子市議が取り上げた。
今回不法投棄ごみが見つかったのは14年度に民間企業に委託して撤去された市城辺の3カ所。いずれも海岸沿いの崖下にあり、従来撤去は難しいとされた所だが、市は「県内ワースト」の汚名返上を目指し、一般財源から約2300万円を投入して1056トンの撤去に乗り出した。
市は12年度にも民間企業に委託して一括交付金約3千万円を使い約6千トンを撤去した。市内では10年度、県全体の9割に上る不法投棄ごみが確認され問題となっていたが、市は14年度の実績を踏まえ、ことし4月、「不法投棄ごみゼロ」を宣言していた。
3日、ごみ撤去現場を訪ねた。市城辺友利の崖下では風雨にさらされて土砂中から浮き出たように、ペットボトルや瓶、缶が無数に落ちていた。鉄筋コンクリートなどの建設資材も見られた。
城辺保良では、急な斜面で生い茂る木々に引っ掛かるように、冷蔵庫やトタンなど大小の資材が朽ち果て、放置されていた。
市議会での指摘を受け下地市長は7月13日に現場を視察。市担当課が業者に対し「危険を冒してまで撤去する必要はない」と指示していたことを踏まえ「取れるだけのごみは取った。これ以上の撤去は命に関わる」として容認する考えを示した。
ただ、「ゼロ宣言」については「これ以上捨てないでほしいとアピールする目的もあった。一部説明不足があった」として軌道修正した。
業者がごみ焼却処分場で繰り返し計量する、計量実績の「水増し」の指摘には、業者職員による行為を認めた上で「業者の社長が市への実績報告前に職員の行為に気付き、実績に含まれていない」と説明した。
市の説明に対し野党系市議らは「不明な点が多い。危険な現場であることを前提に予算がつくられたはず。危険だから除去する必要がないのなら、事業そのものが成り立たない」と批判している。